5月23日、サッカーの日本代表とアゼルバイジャンの親善試合(静岡・エコパスタジアム)は、香川真司と岡崎慎司のゴールで2対0と日本が快勝した。W杯最終予選前、最後の親善試合の相手が、FIFAランキング110位では、選手たちも敵として物足りなさを感じていたかもしれない。
それは、テレビ朝日系で中継されたこの試合の解説者を務めた松木安太郎氏とて同じだったようだ。いつもであれば、ゴール前にボールが飛ぶと、たいして良くないボールでも「良いボールだ!」と叫び、ピンチを迎えれば「危ない! 危ない!」と連呼する松木氏も、この日は総じて静かだった。
前半24分、本田のFKが惜しくもGKに弾かれた場面では、「おい!」といつも通りの叫び声は上げるが、ボリュームは小さめ。その直後に「はっはっはっ」と笑う余裕さえ見せる。
前半42分、香川が左サイドで切り返してDFをかわし、ゴールを決めると、「お~~」と喜ぶも、いつものような絶叫は聞かれない。
後半13分、香川の左サイドからの折り返しを起点に、岡崎が決めたシーンでも、「あ~~」と感嘆はしたものの、テレビのボリュームを下げたくなるような熱い叫びは出ず。
2対0とリードしてからは、前線でボールを追う選手に「ナイスですよ!」とAV監督・村西とおる氏ばりに叫んだ以外は、見せ場なし。松木氏にしては、全体的にトーンの低い解説となった。
最近の格下相手との親善試合では、このような傾向がよく見られると、サッカーライターの一人は指摘する。
「松木さんと日本代表、そしてサポーターの気持ちは一体化しているという説があります。この日は、選手もサポーターも松木さんも『もう少し歯ごたえのある国と対戦したい』と思っていたのではないでしょうか。それが、放送にも表われていましたね。『あの絶叫がないと寂しい』という声は、私の周りでも多かった。最終予選になれば、松木さんも『本気と書いてマジ』モードに突入するはずですよ」
6月3日の“本番”オマーン戦は、テレビのボリュームをいつもより下げて観戦する必要があるかもしれない。