“コンプガチャ規制”に揺れるグリーとDeNA。両社の収益源となっているソーシャルゲームが問題視されたのは、今回が初めてではない。
無料と謳いつつも、ゲームにハマッたユーザーに課金アイテムを購入させて莫大な利益を得てきた商法が「社会悪」とみなされ、2010年9月には、ネット業界に詳しいジャーナリストの佐々木俊尚氏が、ツイッターで「ソーシャルゲームはますます下流食いビジネスへ」とつぶやくと議論が沸騰したこともあった。
しかし、その後もコンプガチャ商法がエスカレートし、ますます利益が積み上がっていったことで、さらなる反感を買う。それが今回の規制につながった一因でもあるのだろう。
ミクシィには「身売り説」が今年5月に報道されるなどしているが、はたして日の丸SNS企業の行方はどうなってしまうのか。
ゲーム業界に詳しい楽天証券経済研究所のアナリスト・今中能夫氏の見通しは厳しい。
「ここにきて欧米を中心とした海外展開に力を入れているようですが、そもそも海外にはゲームにお金を払う風土がなく、海外のSNSは顧客から利用料を取らないビジネスモデルが定着しています。その代わり、閲覧履歴といったデータを得て、それぞれの趣味嗜好に応じた広告を打つことで広告収入を上げるやり方です。フェイスブックをはじめ、そのような海外のSNSがどんどん日本に押し寄せれば、ますます苦しくなるのは間違いない」
国内では規制の手が強まり、海外でも通用しない。まさに八方ふさがりの状況が待ち受けているというのだ。
ましてや、5年後には業界の勢力図がまったく変わっているのがこの世界の常である。
「やせ細りつつあるミクシィはいまだに広告収入頼みだから、今後も厳しい。だから、そうなる前にグリーやDeNAに高値で売っておきたいという思惑も働くでしょうし、一方でこの両社が今回の規制をうまく乗り切ったとしても、また危うくなる可能性も否定できない。さらにSNSでは韓国勢の台頭なども著しいから、国内外入り乱れた再編劇に発展する可能性もあると見ています」(経済誌記者)
日の丸SNS自体の存続も岐路に立っている――。
※週刊ポスト2012年6月8日号