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88才料理研究家 母が子に「何食べたい?」と聞く姿に違和感

 料理教室の生徒を多数かかえ、テレビや雑誌に引っ張りだこの“登紀子ばぁば”こと、料理研究家の鈴木登紀子さん(88才)。そんな鈴木さんが、母親が子供の献立を考えることの重要性について教えてくれた。

 * * *
 スーパーやデパートに行きますと、私は必ずお総菜売り場を見て回ります。いま、どんなお料理が人気なのか、食の流行りがわかりますから、貴重な情報収集の場なのです。夕方ともなりますと、大変な賑わいようで、とくに子供の手を引くお母さんの姿が目につきます。

 働くお母さんが増え、忙しいとき、時間がないときには、出来合いのお料理で間に合わせざるを得ないこともあるでしょうし、あと一品はお総菜で補う…ということもあるのでしょうね。

 ただ、私が気になりますのは、お母さんが子供に「何が食べたい?」と訊ねている姿です。なぜ、お母さん自身が考えて選んであげないのかしら? あらあら、お野菜はどうするの…と。

 昔の母親は子供に「何が食べたい?」などとはけっして聞かなかったものです。子供の成長に合わせ、栄養バランスを考えたおいしい食事を食卓に並べるのは、母親の役目でした。そして子供は出されたものを黙って食べる。その繰り返しが、かけがえのない「おふくろの味」として、子供の心身に記憶されていったのです。

※女性セブン2012年6月7日号

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