ビートたけし、櫻井よしこ、森永卓郎、勝谷誠彦、吉田豪、山田美保子…など、様々なジャンルで活躍する論客が、毎号書き下ろしで時事批評を展開する『メルマガNEWSポストセブン』。5月25日に配信された最新号16号では、森永卓郎氏が日銀の金融政策にメスをいれる。わざと景気を失速させるような政策を採る日銀に森永氏は、どんな意見をぶつけるのだろうか。ここでは、その一部を紹介する。
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なぜ日銀は、わざと景気が失速するような金融政策を採るのか。そのヒントを与えてくれたのが、5月11日の野田総理の国会での答弁だった。
社会保障と税の一体改革関連法案の審議が始まり、この日の最後の質問に立ったみんなの党の江田憲司幹事長は、1000兆に達した国の借金を持続的に返済していくためには、経済成長を続けていくしかないのではないかと野田総理を追及した。それに対して、総理が驚愕の答弁を行ったのだ。
「経済成長した場合、成長に伴う金利上昇により国債費が増加することにも留意をすることが必要であり、経済成長による増収等に頼るのみでは、毎年1兆円規模になる社会保障費の自然増などに対応し、財政の持続可能性を確保することは困難と考えております」
つまり、野田総理は経済成長をすると金利が上昇する。金利が上昇すると国債の利払いが増えてしまうから、財政再建が難しくなると言ったのだ。
しかし、景気回復の先送りは、本当に正しいのか。確かに景気回復には大きなリスクを伴う。しかし、チャレンジしなければ、日本経済は縮小均衡に向かうばかりだ。
アメリカ財務省は5月10日に、4月の財政収支が591億1700万ドル(約4兆7000億円)の黒字になったと発表した。黒字は3年7か月ぶりだ。もちろん歳出削減の効果もあるが、景気回復で所得税収などが大きく増えたことが原因だ。
アメリカはリーマンショック後に世界最大の財政赤字を抱え込んだ。しかし、財政と金融の緩和で、結局は財政黒字を取り戻したのだ。この点に関しては、日本はアメリカに学ぶべきではないのだろうか。
※メルマガNEWSポストセブン16号