「きんは100シャア、ぎんも100シャア」――かつて日本中を沸かせた双子の100才、きんさんぎんさん。あれから約20年、妹・蟹江ぎんさんの4人の娘たちもいまや平均年齢93才、母親譲りのご長寿だ。そんな4人の元気の源のひとつが、年をとっても変わらない、「食べる」ことの楽しみと、それへの意欲だ。
確かに、心と体を健全な状態にキープできるかどうかは、食生活にかかっているといっても過言ではない。そこで元気いっぱいの4姉妹の「食」の秘密をのぞいてみると……。
まずは在りし日のぎんさん(満100才のとき)のごく日常的な献立を、当時の取材ノートから紹介してみたい。
【朝食】:焼きのり、ほうれん草のごま和え、わかめとねぎのみそ汁、緑茶
【昼食】:あじのひらき(干もの)、たいの刺身、きゅうりのみそ漬、緑茶
【夕食】:甘っ辛く煮つけたかれい、ひらめの刺身、ポテトサラダを添えたハンバーグ、わかめのみそ汁、緑茶
三女・千多代さん(94才):「ひゃーっ、おっかさん、こんなにご馳走食べてござったのか。どうりであれだけピンピンして、マシュコミの人らとも、丁々発止と渡り合えたんだが」
四女・百合子さん(91才):「昼食に、あじの干ものと刺身でしょう。夜にもかれいの煮つけに、刺身だがね。これに比べたら、私の食卓は貧相だよ(笑い)」
長女・年子さん(98才):「第一ね、こんなにようつくれんがな。今日、つくったもんを、3日も続けて食べることあるだがね」
ぎんさんが、バランスのとれた食生活を維持できたのは、孫嫁の万里さん(59才)が、おばぁちゃんのためにと、いろいろと腐心したからだ。
五女・美根代さん(89才):「そいだで、母は食べるということじゃ、幸せだったよ。好きなもんを、好きなだけ食べられたんだから」
千多代さん:「うん、明日からわしらも、もっともっと食いしん坊にならんと、ただのしわくちゃババアになってしまうだで(笑い)」
元気で長生きするには、運動と同じくらいに食べることが大切だ。蟹江家では、「一日三食をしっかり」という教えがあった。
「朝のごはんがうみゃーと、一日がね、それはしゃわやかです」
それが口癖だったぎんさんは、小さいころから4人の娘をこうしつけた。
<三食はしっかり食べる。腹八分目がいちばんだがね>
百合子さん:「これは小さいころからいわれたで、腹八分目は身についてるよ。無茶食いはせんがね。そいだで、私ら4人とも、メタボとは縁がないだがね」
美根代さん:「いやあ、このごろ、あんた、少ーしにゃあ、太ってきたよ。ぜい肉、とらんといかんがな(笑い)」
千多代さん:「おっかさんは、腹八分目といわしたけど、人間、年とともに食べんといかんよ。若いときは、あれが駄目、これが嫌いちゅうて食べなんだが、90才になったころから、よう食べるようになった。年をとったら、細い食事がええというけど、食べられるうちは、欲張って食べんといかん。これぇ、私の貴重な体験だが(笑い)」
美根代さん:「だけんど、それいうなら、単なる“食いしん坊”ちゅうことだがね(笑い)」
※女性セブン2012年6月14日号