「特に女性の睡眠はかなり不足しており、日本の40代女性の睡眠時間は世界で最短という調査結果もあります」
この驚きの現状を話すのは、日本睡眠改善協議会常務理事で、日本睡眠学会理事の白川修一郎さんだ。人間の適正睡眠時間は7時間といわれているが、日本人女性の半数近くが6時間以下の睡眠で過ごしているといわれ、とりわけ40代の睡眠不足は顕著だという。
中高生の子供を持つ世代のため、子供や夫の弁当・朝食作りで早起きをし、夜は遅くまで夫の帰宅を待つ。家計を支えるためにパートに出て、両親の介護問題を抱えるとなればさらに忙しく、睡眠時間は削られる。また更年期障害を抱える女性の50%以上もの人が不眠を訴えているというデータもある。
「健康を維持するのに必要な睡眠時間は6時間半~8時間とされ、脳をすっきりさせるという意味で必要なのは7~9時間といわれています。長すぎてもよくなく、ダラダラ寝ると睡眠の質が悪くなります」(白川さん・以下同)
多くの人がやりがちな休日のまとめ寝も、夜眠れなくなるという悪循環に陥り、体のリズムを崩しやすくなるのでおすすめできない。
「学生を対象にした調査で、まとめ寝をすることの多い学生は一般的に学力が低いことがわかっています。睡眠不足がうつ状態を引き起こすこともありますし、免疫力も落ちますから、病になりやすく死亡率も上がる。睡眠不足を含む睡眠障害の人は、認知症の発症リスクが5倍に、がんの発生リスクは1.8倍になります」
アメリカのがん学会が行った疫学的な睡眠調査でも、平均睡眠時間が7時間前後の人は最も死亡率が低く、それより長い、もしくは短くなると死亡率が高まる傾向が報告されている。
※女性セブン2012年6月14日号