今日6月3日の放送で打ち切りとなる連続ドラマ『家族のうた』(フジテレビ系)。これに続いて『クレオパトラな女たち』(日本テレビ系)も6日の放送をもって、当初の予定を早めて終了する。このふたつのドラマが、打ち切りとなった背景とは?
『家族のうた』はオダギリジョー主演で、家族の絆をテーマにしたファミリードラマ。視聴率3%台の超低空飛行が続き、第8話で終了することになった。美容整形がテーマで佐藤隆太主演の『クレオパトラな女たち』も、視聴率6%、7%台と低迷し、3話早めて打ち切られることが決まった。
「どこの局もいまは、数字がとれない番組の継続にはシビアになっています。改変期でなくても、不調の番組は必ずといっていいほど打ち切りが話題にのぼりますしね。とくに、ドラマは一度視聴率が下がってしまうと、再び浮上させるのは難しい。今回の打ち切りの判断はやむをえない、というのが業界ではもっぱらの声です」(民放関係者)
打ち切りとなるドラマが、フジテレビと日本テレビという2局だったのは、もうひとつ別の事情が関係しているようだ。
「この2局の視聴率バトルが、それだけ激化しているということです。それが顕著に表れたといえますね」
こう話すのは、ドラマ事情に詳しい評論家の北川昌弘氏だ。
日テレは昨年、8年ぶりにフジから、全日(6~24時)、ゴールデン(19~22時)、プライム(19~23時)の年間視聴率三冠王を奪い返した。その大きな要因が、情報番組の強化に加えて、ドラマの好調だった。最高視聴率40%を記録した『家政婦のミタ』をはじめ、『妖怪人間ベム』『怪物くん』など、数字のとれるドラマを量産。一方、フジは『マルモのおきて』『私が恋愛できない理由』などヒットドラマはあったが、かつてトレンディードラマで数々のブームを起こした勢いはなく、バラエティーの不調も響いた。
「フジとしては、視聴率3%台のドラマを続けていては、三冠王奪還どころじゃなくなってきます。4月に行った朝昼帯の情報番組の大改編もうまくいっておらず、すでに日テレに大きな差をつけられています。死守したい日テレも必死です。6、7%台のドラマなら、これまでならそのまま予定の放送回を続けるケースが多かったですが、それでも打ち切りを決めたのは、フジや他局の視聴率を意識しているからといえます」(前出・北川氏)
加えて、フジと日テレを焦らせたのがテレビ朝日の存在だった。
「4月の月間館視聴率では、昨年度年間3位のテレ朝が深夜帯(23~25時)を含めて4冠達成と絶好調です。フジは首位争いをしているつもりが3位に転落しかねません。全日視聴率が1%違えばスポット広告の売り上げは年間で数百億円違うといわれるほど視聴率は経営に直接響いてきますから、フジも日テレも黙ってみているわけにはいかない状況だといえますね」(前出・北川氏)
6月でちょうど折り返し地点を迎えたが、視聴率バトルは今後ますます激化しそうだ。