学生時代、何度も通った大学近くの定食屋。親父やお袋のようにやさしく、ときに厳しく接してくれた店主たちは、今も変わらず現役だ。ここでは、日本大学経済学部・法学部キャンパス近くの『ライスカレー まんてん』を紹介しよう。
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昭和56年の創業以来、学生たちの腹を満たしてきた『ライスカレー まんてん』。店名は試験で満点をとるようにとの思いを込めて命名された。
「うちの店は学生さんたちの口コミで評判が広がり、週3回以上来てくれる子もいる。みんなに助けられての30年だ」と69歳の店主・江澤昭夫さん。
「嫌なことがあればいつでも愚痴をこぼしに来なと、いっているんです。でも、学校を辞めようか……と悩んでいた子には、“親を泣かすな!”と叱り飛ばしましたけど(笑い)」
そんな江澤さんが最も楽しみなのは、みんながこぞって挨拶に来る卒業式の日だ。店内には、14年前にラグビー部の学生が卒業式後に酒を持ち込んで「Bar まんてん」と称して開いた宴の写真が飾られているが、そのときの一人がマッサージ師になり、恩返しにと施術してくれたときは長年の疲れが癒えたと嬉しそうに語る。また、20年来の付き合いのあるOBたちから届く手紙や年賀状は、「私の宝物」と、大切にしている。
■ライスカレー まんてん
【住所】東京都千代田区神田神保町1-54
【営業時間】11~20時(土曜は16時まで)
【定休日】日曜・祝日
撮影■井坂英彰
※週刊ポスト2012年6月15日号