『バーバリー』や『ポール・スミス』、『ハロッズ』、『アクアスキュータム』『ダックス』など、日本人がイギリスブランドを好きな背景には、両国に共通点が多いことも関係しているようだ。島国という地理的要素、王室(日本は皇室)の存在、明治維新の際にイギリスを新しい国づくりのモデルにしたという歴史……。
「古いものを大事にする精神、質実剛健さ。生活がこぢんまりしているところも似ていますよね。流行りのガーデニングだって、日本でいうなら坪庭や盆栽。自然に親しみ、愛でる心も両者に共通しています」
と話すのは著書に『ロンドンで学んだ女性の向上心』(朝日文庫)などがある作家・雑誌編集長の井形慶子さん。
さらに、英国人ならではの気質として知られるのが、そのユーモアセンス。王室がスキャンダルを突っ込まれても余裕で笑える寛容さがあるという。
これについてイギリスの伝統文化に詳しい服飾史家で、明治大学特任教授の中野香織さんが話してくれた。
「王室という特権を許されたかわりに、伝統的にいじられてきたんです(笑い)。イギリスにおいては王室のスキャンダルも“恥”ではなく“親しみやすさ”と受け入れられている。王室のメンバーもまた不完全な人間に過ぎないと認めて、国民の共感につなげていっている。人間力の深みとともにしたたかさも感じますね」
7月27日にオリンピックの開会式を迎えるイギリス。この機会に訪れたいと考えている人も多いかもしれないが、マナーを重んじる国ゆえ、初めての際には注意が必要だ。
「きちんとした店では、ハワイなどのリゾート感覚でTシャツ短パンで行くと入店を拒否されることも。デニムはNG、男性はネクタイをするのがマナーと覚えておきましょう」
というのは、英国専門商社BLBGの田窪寿保社長。とはいえ、堅苦しく閉鎖的というわけではなく、他の民族や文化に対する理解の深い国だとも。
「道に迷ったら案内してくれたり、ベビーカーを地下鉄の階段の下まで運んでくれたり、困った人がいたりしたら手を差し伸べる、という国民性。知らない人との“出会い”も大切にしているので、彼らの親切さに触れてイギリスが大好きになる日本人は多いですよ」(井形さん)
※女性セブン2012年6月14日号