これまで政局の度に、閉塞状況打破の突破口として待望されてきた石原新党が、民主・自民の低迷と橋下徹大阪市長の台頭によって、昨年来、再び注目を集めている。4月12日に石原慎太郎都知事が「一回仕切り直す。白紙に戻す」と発言したことによって、いったんは立ち消えになった感がある新党構想だが、実際には水面下で着実に進行していたようだ。
「新党として橋下さん(の大阪維新の会)と合流するでしょう」「日本中に火を付けて廻りたい」。主役交代の予感漂う政界激変の焦点・石原都知事が「新党」と「橋下徹」について、語った。
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――尖閣購入をきっかけに、石原知事への国政復帰期待が高まっているようです。
石原:尖閣諸島の問題だけでなく、とにかく国会が滅茶苦茶になっている。この状況をどうにかしなくてはいけない。私自身がどうこうという以前に、新しい人材に活躍してもらわなくてはいけない。
今、「かけはし塾」(たちあがれ日本の党員向け政治塾)にも関わっていますが、ここにはすでに優秀な人材が結集しています。何人か社会的な地位も実績もある人間たちが、打って出る機会を待ちうけている。数の上でも随分なものになるんじゃないですか。こういう人たちと共に、政治のヌーベルバーグ(新しい波)を起こしたいとは思う。
――そうなると、核となるのはやはり、「石原新党」でしょうか?
石原:そりゃあ、新党になるでしょう。いずれは大阪と一緒になってね。名古屋はどうも小沢一郎と繋がっているようだから、そうなるとね。亀井静香とは昔からの仲間だから、当然一緒にやりますよ。しかし、小沢と私を一緒にしようとしているのは、迷惑千万だね。これは死んでも嫌だ! 一緒に手を組むことは絶対にないと言っているんですよ。
――橋下徹大阪市長は大丈夫なのですか?
石原:彼は大丈夫ですよ。今も命懸けの大変な仕事をしています。
――たちあがれ日本の園田幹事長が、すでに新党の綱領を作成中という話を聞きました。
石原:綱領というかね、日本国憲法なんかは頭から否定して破棄したほうがいい。これは非常に重要な点で、その時の総理大臣が、「日本国憲法は、占領軍に押しつけられたもので、無効である」と宣言すればいい。世界中を見ても、占領下に押しつけられた憲法を未だ頂いているなどという異常な国は日本だけですよ。改正となると、様々な手続きを踏まなければいけないので、改正ではなく、ただ破棄すればいい。政権が憲法を破棄することを妨げる法律はどこにもないのだから。
――新党綱領には核武装の文言が入っているという情報もあります。
石原:そういう議論も出てくるでしょうし、しないといけません。核は「それを持てる」という能力だけで力となります。国際的な場では、これがないと相手にされません。例えば、ミャンマーと北朝鮮を見てください。ミャンマーに対しては、アメリカを始め、世界各国が強硬な態度をとっていますが、北朝鮮にはそうではない。弱腰です。核のカードがあるからです。
アメリカだって、オバマ大統領が核を廃絶すると宣言した2か月後に、新型核兵器の実験を行ないました。日本も保有しないまでも、核開発・研究を続けて、いつでも核を持てるようにシミュレーションしておけばいいのです。それが国を守るということです。
※SAPIO2012年6月27日号