次長課長・河本準一(37才)と、キングコング・梶原雄太(31才)の母親が生活保護を受けていた騒動を受けて、国は制度改革の必要性に言及し始めた。その方向性は「扶養義務」──つまり子供が親の面倒を見る義務の強化だ。
小宮山洋子厚労相(63才)は衆議院特別委員会で、「扶養可能と思われるケースでは、家裁調停を申し立てる手続きを積極的に活用したい」と述べた。この発言の意味について、生活保護に詳しい関西国際大学教育学部教育福祉学科教授の道中隆さんはこう説明する。
「生活保護の申請を受けた福祉事務所は、申請者本人の収入や資産のほか、扶養できる子供や親族の有無を確認します。そこで、申請者本人に収入がないとわかった場合は、親族に扶養を要請します。しかし、この扶養の要請には強制力がない。親族に『面倒を見たくない』といわれたら、そこで終わりなんです。
福祉事務所は一応、家庭裁判所に申し立てる権利があります。裁判所の決定があれば、扶養要請に強制力を持たせることができるわけですが、これまでは親族のモラルに任せ、この20年間で実際に申し立てたケースはありませんでした。今後は、この権利を積極的に使って、経済力のある親族たちには扶養義務を果たしてもらおうということでしょう」
家裁調停を活用することで、より厳格に義務を果たさせようというわけだ。
※女性セブン2012年6月21日号