2月22日は、「ニャンニャンニャン」で猫の日。5月4日は、「May(メイ)、4(シ)」で名刺の日。5月23日の「ラブレターの日」は“こいぶみ”に由来――というように、我が国には、ダジャレによる「○○の日」があふれている。
また8月8日は「フジテレビの日」や11月11日は「ポッキー&プリッツの日」のように、企業や商品と絡んだ「○○の日」も少なくないし、商品やサービスにちなんだ「○○の日」にイベントやキャンペーンを行なう企業も多い。
例えば6月9日は「我が家のカギを見直す『ロック』の日」ということで、大手鍵メーカー美和ロックが、昨年6月9日に本格的リズムギターゲーム『MIWA ROCK!!』をiPhone用にリリースし、約5万ダウンロードのヒット作となった。さらに今年は新機能を付加し、Androidアプリもリリース。
楽曲は元ザ・ブリリアント・グリーンのギタリスト・松井亮氏に提供してもらうなど、本気度が高い。ロック、ファンク、ハードロックの3つのプレイモード各1曲ずつのほか、クラシックの名曲であるワーグナー作曲「ワルキューレの騎行」がロック調にアレンジされ、一定レベルを超えると入手できる“スペシャル楽曲”として収録されている。
6月9日の「ロック」だけでは足りず、“LOCK”と“ROCK”でさらにダジャレを重ね、本格的なゲームまで作るなんて……普段は防犯に力を入れるマジメな会社が一体どうしてしまったのか?
「安心な暮らしのために『1ドア2ロック』などを呼びかけておりますが、鍵が注目されるのは空き巣、ピッキングなどネガティブな事件の時ばかりです。
1年に一度ぐらい明るい話題づくりができないかと、鍵同様、肌身離さず持つスマートフォンのゲームを作りました。まじめな会社なので、作るからには本格的で質が高く、楽しいゲームを目指しました」と、あくまでマジメに話すのは美和ロック 広報室の木谷麻希さん。
ここまで本気であれば、プロの音楽関係者に評価を聞いてみたい! ということで、『MIWA ROCK!!』にハマっているという元大手レコードメーカー勤務、現在はフリーの音楽プロデューサーである田中利明さん(47)に話を聞いた。
「元々ギター少年だったし、音楽ゲームはいくつもやってきたけど、これは相当好きな人が作っているのがわかりますね。この[PLAY]ボタンからして、ディープ・パープルのリッチー・ブラックモアが愛用しているピックの形を意識したんだと思うんですよ。
ランキングの最高点を見ると7000点超え。ここまで熱中するほど繰り返し演奏できるのは、楽曲がいいからです」
田中さんが「僕はまだまだ残念な点数なのですが…」といいながらもプレイすると、時折「ワ~」といった歓声の効果音が入り、テンションが上がる。
「プロの音楽関係者の立場で聴いても、音色が非常にいいんです。ファンクの曲では、きちんと弾ければワウペダルのうねりがちゃんと出るし、ハードロックではボトムヘビーが響く。16分音符の連続は速くて難しいけれど、うまく弾けたらすごい爽快です。
チョーキングやワウといったエフェクト部分の芸の細かさや、各ジャンルのおいしい特色を押さえているところがたまりません」
田中さんオススメの上達法は、ステレオや高性能ヘッドホンにつないでバックのトラックをしっかり聴きながらプレイすること。質の高い音で曲が理解できると、自然に点数が上がるという。
「今は音楽のプロも、スマホでデモテープを作る時代。一方で、趣味で音楽をする人もスマホひとつで高いレベルの音楽を楽しめます。
『MIWA ROCK!!』は、初めて演奏する人も、ギターを弾ける人もハマれると思います。あとゴールデンボンバーとかエアバンドが流行ってますけど、エアギターする人には、いい練習ツールになるかも」