学生・社会人8004名を対象に行われた「就業先として魅力度の高い企業」調査。国内家電各社の業績不振と大規模リストラが伝えられる中で、意外な結果となった。「外部から見る」のと「中に入って働く」ことの違いは? ネット文筆家の奈良巧氏が問題提起する。
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まずは以下の結果をみていただこう。総合人材サービスのランスタッド社の調査で、学生・社会人8004名への調査に基づき、「就業先として魅力度の高い企業」がどこか、というもの。総合ランキングのトップ3にはお馴染みの企業が並んだ。
1位 ソニー
2位 オリエンタルランド(東京ディズニーリゾート)
2位 パナソニック
国内家電各社は液晶テレビなどの業績不振が伝えられているのだが、一般的な「就職したい企業」としてはまだまだ上位、ということがわかる。
発表会ではソニーの業務執行役員EVP人事・総務担当の藤田州孝氏が、「企業としてはとても厳しい時代だが、今回の受賞は弊社が長年運営してきたユニークな人事制度に対して評価頂いた結果と思う」とコメントした。
また、海外企業部門1位にはアマゾンが選ばれた。ちなみにこの調査は、世界12カ国で行なわれており、たとえばインドでは
1. Google India
2. Microsoft
3. Oracle
といった結果が出ており、まさにソフトウェア開発がインド成長の鍵となっているのがわかる。
この調査で面白いのはここからだ。
●快適な職場環境がある
1位 味の素
●雇用が安定している・終身雇用がある
1位 味の素
●財政的に安定している
1位 味の素
「部門賞」ともいうべきこの3ジャンルを、味の素が独占し、働きやすそうな企業という印象を世間が持っていることがよく分かる。相撲で言えば優勝は逃したが、殊勲賞・敢闘賞・技能賞をかっさらったという印象。
最後に注目するべきは、「他社より給与が高額で、福利厚生が充実している」企業。
1位 電通
えっ、業界人のはしくれとしては「わがままなクライアントやりとりが厳しく精神的にすり減る企業ナンバーワン」なのかと思っていたが、世間評価の高さには驚く。
知人の電通マンにコメントを求めたところ「うーん、そういう印象なんでしょうかねえ。実態とはかけ離れてると思います」とぽつり。大丈夫ですかっ。あなたの会社は世間が抱くイメージを適正化するのが商売ですよね。
いずれにせよ「外部から見る」のと「中に入って働く」のは大違い。人気企業のデータと「将来性」は別物と思って就職先を探してもらいたいものだ。