平成25年の第62回式年遷宮に向けて諸祭、行事の進む伊勢神宮。7年前から伊勢神宮に魅せられ、東京・調布市文化会館で写真展「伊勢神話への旅」を開催中(7月1日まで)の写真家・宮澤正明氏が、伊勢神宮の知られざる魅力を紹介する。
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この春、テレビ番組の特集でAKB48の宮澤佐江ちゃんと峯岸みなみちゃんの神宮参拝をナビゲートしました。近年若い参拝客が増えていますが、ファッションやマナーの乱れが気になっていました。それを視聴者の若い方にも知って欲しくて、お勧めの撮影スポットなどと併せて参拝の心得をお伝えしました。2人とも初めての神宮に様々な発見をしてくれたようでとても感動してくれていました。
「神宮」が人を惹きつける魅力。この不安定な世の中、誰しもがゆるぎない「心の拠りどころ」を求めているからではないでしょうか。2000年前と同じ風景が存在すること、自然の恵みとそれに対する感謝を体感できるからかもしれません。
太陽の神を祀っている神宮ですが、森や米を育てる雨への感謝も忘れません。特に5月から6月にかけては作物の成長と五穀豊穣を祈る儀式が行なわれ、神宮を囲む森の新緑が力強く成長するエネルギーを感じられる季節です。
「お勧めの参拝は?」と聞かれると、私は早朝参拝を推奨しています。人の少ない参道を朝日の木漏れ日を全身に浴びながら歩くのは、細胞が活性化するようで良いものです。
もうひとつ、この季節お勧めなのが雨の神宮です。巨大な神宮杉の緑がより一層濃く深くなり、参道の玉砂利がしっとりと濡れ、普段と違う幻想的な表情を見せてくれます。
雨の日に行なわれる儀式を「雨儀」といいます。白装束に大きな和傘をさした神官が粛々と参進する姿からは、雨も自然の恵みと感謝する心が感じられ、私の大好きな光景です。
写真家として、このような光景を記録としてだけでなく、神宮に現代にも息づく神話という視点で捉えたいと思って撮影しています。今回の写真展では選りすぐりの作品を展示しています。伊勢までは遠くてなかなか……という方も、この機会に神宮の風景に触れていただけたらと思います。
【プロフィール】
みやざわ・まさあき 1960年生まれ。『夢十夜』で米国ICP第1回新人賞受賞後、広告、ファッション、ウェブなど幅広い分野で活躍中。2004年、神嘗祭を機に、伊勢神宮の撮影を開始。神宮司庁広報室室長・河合真如氏との共著『伊勢神宮の知恵』(小学館)など著書多数。
撮影■宮澤正明