家事や育児、仕事に追われる女性は、自分の健康チェックを後回しにしがちだが、がんなどの病気になれば、健康診断や人間ドック以上に費用や時間もかかり、かえって家族へのダメージが大きくなってしまうもの。なるべくお金をかけず、賢く健康診断を受ける方法から、最新の人間ドックまでを紹介しよう。
安価な健診・検診に対して、人間ドックなどの“任意健診”は、基本的に全額自己負担。一般に7万~8万円前後から、内容によっては20万円以上の人間ドックもある。
「それだけ高ければ、全部チェックしてくれるはず」と安心するのは早計。医学博士の矢端正克さんはこう語る。
「人間ドックでも、検査項目の範囲内しかチェックしません。もし、体をくまなく検査しようとすれば、最低でも1週間、金額にして50万~60万円はかかってしまうのです。まずはメタボ健診と自治体のがん検診。そのうえで、自分の年齢や体調に合わせた検査を自分で選び、“プラスオン”するのが最も大切です。
検査内容を選ぶときは、“家族歴”にも注意。家族にがん患者や、眼などの病気の人がいれば、やはりその部分のリスクが高い。その検査が無料の健診・検診の対象外なら、個人で検査を受けたほうがよいでしょう。また、ダイエットをしていないのに体重が減ってきた場合は、消化器系や甲状腺の疾患、糖尿病の疑いがありますから、すぐに検査を勧めます」
自治体のがん検診では足りない部分だけ、人間ドックを受診するのも賢い方法。
「自治体の子宮がん検診では、子宮頸がんの検査はしますが、子宮体がんや卵巣の検査はオプションになってしまいます。がん以外にも、卵巣嚢腫や子宮内膜症といった、女性特有の疾患もあるので、女性向けドックなどで積極的にチェックしましょう」(婦人科医の小屋松安子さん)
女性セブンの会員サイト「セブンズクラブ」会員へのアンケートでは、
「自治体の乳がん検診を受けたとき、問診で『身内に乳がん患者はいない』と答えたら、視診と触診だけで、マンモグラフィーを省かれた」という回答も。心配なら検診だけに頼らず女性向けドックを受診するとよい。
医療ジャーナリストの油井香代子さんは、さらに“プラスオン”したほうがいい検査として、「骨密度」を挙げる。
「骨粗鬆症になると、特に自覚症状もなく、ある日いきなり骨がポキッと折れることがあります。とりわけ閉経前後の女性は骨密度の低下で骨折しやすくなり、老後の生活を大きく左右します。閉経前後からは、定期的に骨密度をチェックすると安心です。
金額の高い人間ドックを毎年受けなくてもいいのです。閉経前後や夫の退職、子供の卒業など、人生の節目を迎えたときに、記念イベントのような感覚で、たとえば一度女性向けのドックを受けるとよいでしょう」(油井さん)
※女性セブン2012年6月21日号