料理教室の生徒を多数かかえ、テレビや雑誌に引っ張りだこの“登紀子ばぁば”こと、料理研究家の鈴木登紀子さん(88才)。そんな鈴木さんが、失敗しないおいしいだしの取り方についてについて教えてくれた。
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少々時間はかかりますけれども、失敗のない方法が「水出し」です。昆布や煮干し(焼き干し)、干ししいたけなどをそれぞれ水に浸しておくだけです。
朝食のみそ汁などに使う場合は、前の晩に、お鍋に水と煮干しを入れ、おちょこ一杯分ほどのお酒を加えて寝かせます。朝起きたときには、おいしいお出汁ができあがっている…という具合です。
火を入れずにとるお出汁は、手間がかからないばかりか、格別なおいしさです。乾いた海藻や魚が水のなかに戻され、時間をかけてゆっくりとほぐれて、じわ~りじわりとうまみがにじみ出てくるわけです。母は「夜のうちに時間がやっておいてくれるのよ」と、いつもこうしてお出汁をとっておりました。
また、お出汁をとったあとの昆布は干してまとめて当座煮にします。当座煮とは、しょうゆと酒で味つけした煮物でほんの数日(当座)日持ちする副菜のことです。
そうはいっても、いつもお出汁を使う必要はないのですよ。お肉やお魚で濃厚なうまみが出るお料理では、お出汁が不要という場合もあります。かぼちゃの煮ものなどは水だけで煮るのが私流です。
※女性セブン2012年6月14日号