旅先でのときめきはより興奮度がアップさせられるもの。ひとりでおいしい日本酒を求めて遠方の酒蔵を訪れた38才独身女性の会社員Aさん。彼女の話を聞いてみよう。
* * *
日本酒の蔵元を巡り、地酒を買い集めるのが私の趣味。先日も新潟へ行ってきました。
お目当ての蔵元に着いたものの、その日の見学者は、私だけ。私ひとりのために案内の手間を取らせて申し訳ないなと思っていたら、ワイシャツの上に紺地の法被を着た男性が、「ようこそおいでくださいました」と、笑顔で迎えてくれたんです。
茶色がかった長めの髪が、サラッと顔にかかっていて、チュートリアルの徳井さんを真面目にした感じ。正直、好みのタイプ! 年齢も同じくらいだし、話しやすかったので、すぐに打ち解けちゃいました。
試飲コーナーでは、生酒やら純米大吟醸やら、すすめられるままに飲んでいたら、「Aさんって、おいしそうに飲みますよね。一緒に飲みに行ったら、楽しいでしょうね」って、ニッコリ。思わずドキッとしたんですが、ほろ酔いの私は調子に乗って、「じゃあ、今夜飲みに行きませんか?」って誘っちゃったんです。いま思えば恥ずかしいんですが、お酒の勢いって怖いですね。旅の非日常感もあって、大胆になっていたみたい(笑い)。
そしたらなんと、「じゃあ、おすすめの店を紹介しますんで、待ち合わせしましょう」ってことに? “きゃー! デートみたい”ってワクワクしながら、指定場所に行ってみたら、なんと、そこには彼だけでなく、蔵元の職人さんたちもいて…。ビックリするやら、残念やら。でも「まぁ、そうだよね」なんて、ちょっとホッとしたんですが…。その夜は、深夜まで大いに盛り上がりました。
別れるとき彼が、「遠方ですが、よかったら、また来てください。今度はふたりで飲みましょう」っていってくれたんです。お酒よりも素敵なお土産をいただいた気分になりました。
※女性セブン2012年6月14日号