調子が上がらないにもかかわらず、西武ライオンズの観客動員が好調だ。チーム成績はパ・リーグ最下位(6月6日現在。以下、記録は同)ながらも、ホームゲームの平均観客動員数は、パ・リーグ3位の2万1367人。西武ドームは3万3921人収容なので、席の62.9%が埋まっている計算になる。
観客動員好調の理由のひとつがファン向けの「企画チケット」の充実だろう。「埼玉県&西武沿線感謝デー」などでは、通常3000円の内野指定席Bを、該当地域在住の人は1200円で購入することが可能だ。つまり、6割引なのである。
この企画は、5月から8月まで計22試合にわたり実施されている。はたして採算が合うのだろうか? スポーツ紙野球記者が語る。
「鉄道会社を傘下に持つ西武グループならではの企画ですね。単純にチケット料金だけ計算すれば、マイナス1800円です。しかし、西武ドームに来るためには、必ず西武線に乗らなければ辿りつけない。しかも、電車に乗るだけではなく、駅構内で新聞を買ったり、ジュースを買ったりすれば、西武グループにも収益が入る。
また、西武ドームは西武の持ちモノですから、テナントの商品が売れれば売れるほど、実入りが大きくなる。球場を借りて試合をしている他球団と比べれば、その収益率は高いはずです。とにかくお客さんを集めれば、何らかの形でお金を落としてくれますから、元のチケット料金を半額以下にしても、プラスになると計算しているのでしょう」
池袋駅から西武球場前駅までは、片道360円、往復720円だが、仮に観戦客が電車賃しか使わず、球団にとってマイナスになっても、その試合をキッカケに次回は正規料金で観戦に来るかもしれない。そもそも満員になる可能性が低ければ少しでも客を多く集めるに越したことはないだろう。
かつては南海、近鉄、阪急など多数あった鉄道会社球団も、いまや西武と阪神だけ。西武はそのメリットを最大限に活用しているといえるだろう。