ライフ

彼女にヌードの仕事相談された男「脱ぐなら俺、会社辞める」

 現在、漫画家・作家として活躍するさかもと未明氏は、これまで夜の仕事も含めて様々な仕事に従事してきた。その内のひとつがグラビアモデル。新刊『女子のお値段』(小学館)の中で、さかもと氏は当時のことをこう振り返っている。

 * * *
 私はちょっと特殊なお仕事をしてきたと思います。グラビアモデルはその一つです。

 最初にモデルの話がきたのが27歳のとき。当時はヘアヌードブームで、写真集がたいへんな活況でした。「レディコミで面白い子がいるから話題になるのでは」と、私のところに話がきたのだと思います。海外ロケな上に有名なカメラマンさんが撮ってくださると聞いて、私の心は揺れました。しかもギャラは200万近いと言われたのです。

「人生一度きりだし、やってみたいなぁ」

 私はもともと絵描きです。ヌードが恥ずかしいとかいけないという感覚はなかったのですが、一応と思って親と当時の彼に相談しました。そうしたら怒られたのなんの!

 親からは「お前のヌードなんか誰が見る」「汚らしい」「そんなことをして、妹弟が結婚できなくなったらどうする」とか、そこまで言わなくてもいいじゃないですか、というくらい攻撃されてしまいました。彼には「脱ぐなら俺、会社やめるし結婚しない」と言われました。

 私は本当に悩んでしまいました。「会社やめなくちゃいけなかったり、結婚できなくなるくらい悪いこと? じゃあ世に喜びを提供している他のモデルさん達はそんなに悪い人なの? みんなヌードを見るじゃないですか。何で私がやったらいけないの?」

 私は混乱しました。自分は表現をするのが仕事だし、やってもいいと思い続けましたが、彼が会社をやめるのなんのというのがどうしても気になり、ヌード写真集は出しませんでした。でも彼とはそのまま結婚することができず、婚約破棄をしました。

「脱ぐなら結婚できない」と言われたことが、どうしても受け入れられなかったのです。私は、結婚するということは、お互いのすべてを受け入れることだと思っていました。私の中に彼が許せない種類の表現への欲求がある以上、そういう気持ちを抑えたまま、妻に収まることはできなかったんです。

 彼の気持ちも今はわかります。私を大切に思うからこそ、漫画まではいいけど、写真で体をさらしてほしくなかったのでしょう。私の体を彼だけのものにしておきたかったんだと思います。それはまさに理屈にならない、男性の根源的な思いです。それがあるから男の人は女性のために必死で働くし、いざというときには戦ってくれます。

「女性を守る」という、男性の根源的な使命の部分から、私は抜け出してしまったんですね。そういうことを理解できる男性もいるのでしょうが、当時の彼が理解してくれなかったといって、責めることはできません。

 ただ、そういうふうに行動を規制されることが、私には苦しいことでした。結婚したとき漫画をやめてと言われて苦しんだのと一緒でした。またしても私は当たり前の「素人のルール」を踏み越えてしまったんです。

 当時の私は「どんな表現をしようとも、別の人と付き合うとかじゃないし、浮気でも何でもないのに。私を理解して受けとめてくれたら、それこそ一生つくせるのに」という思いでいました。今思うと勝手な理屈かもしれません。でも当時の私は表現の欲求を抑えられませんでした。そんな私を恋人の男性にわかってほしかったんです――。

※さかもと未明/著『女子のお値段』より

関連キーワード

関連記事

トピックス

石川県の被災地で「沈金」をご体験された佳子さま(2025年4月、石川県・輪島市。撮影/JMPA)
《インナーの胸元にはフリルで”甘さ”も》佳子さま、色味を抑えたシックなパンツスーツで石川県の被災地で「沈金」をご体験 
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で天皇皇后両陛下を出迎えた女優の藤原紀香(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《天皇皇后両陛下を出迎え》藤原紀香、万博での白ワイドパンツ&着物スタイルで見せた「梨園の妻」としての凜とした姿 
NEWSポストセブン
何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン
隣の新入生とお話しされる場面も(時事通信フォト)
《悠仁さま入学の直前》筑波大学長が日本とブラジルの友好増進を図る宮中晩餐会に招待されていた 「秋篠宮夫妻との会話はあったのか?」の問いに大学側が否定した事情
週刊ポスト
新調した桜色のスーツをお召しになる雅子さま(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
雅子さま、万博開会式に桜色のスーツでご出席 硫黄島日帰り訪問直後の超過密日程でもにこやかな表情、お召し物はこの日に合わせて新調 
女性セブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市早苗が激白「私ならトランプと……」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市早苗が激白「私ならトランプと……」ほか
週刊ポスト