全国の都道府県警47組織のなかで、ほかに類を見ないほど“充実”していると密かに話題になっているのが福岡県警のホームページ(HP)だ。県警が打ち出す犯罪対策も、他の地域では見られない斬新なものばかり。
県警HPには〈手りゅう弾に注意!〉と題したページがあり、普通の生活ではまず見る機会のない殺傷能力の異なる4種類の手榴弾が写真付きで紹介されている。同ページでは「手りゅう弾からの距離」と「威力」の関係について詳しく解説。
それによると、「半径10~15m以内」は「死亡又は重傷」、「半径50m以内」は「破片により重傷」、「半径200m以内」は「飛散した破片が到達」するという。手榴弾が転がっているのを見かけたら、一目散に走って逃げなければならないことがよくわかる。
さらにこんなスローガンも書かれていた。
〈絶対に踏んだり、触ったり、蹴飛ばしたりしない〉
福岡県警の熱心さには理由がある。同県は発砲件数、指定暴力団数ともに全国1位。昨年1月以降、4件も手榴弾使用事件が起きている。厳戒態勢下にある同県ではここ数年、暴力団抗争による被害が一般市民にも及び、昨年4月までの5年間で抗争に起因する市民を含む死亡者数は9人に達した。現在、「警察と暴力団がガチンコで対峙する最前線」(警察庁関係者)とされる“お国柄”なのだ。
組員を検挙した際に流す「暴力団員検挙速報」なる特設コーナーも必見だ。罪名、逮捕年月日、逮捕警察署、被疑者の住所、氏名、年齢、所属団体を県警HPのトップページで一覧表示している。他県警でもぜひ導入を検討してもらいたいほどの画期的システムである。
※週刊ポスト2012年6月22日号