大阪市と大阪府が合体して「大阪都」になれば、GDPは約38兆円で、ベルギーやノルウェーと肩を並べて世界20位くらいの経済規模になる。“橋下革命”がそこまで進み、世界中からカネ・企業・ヒトを呼び込めば、住民も大きなメリットを享受することができると、大前研一氏は指摘する、以下は、大前氏の解説だ。
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大阪市が全職員約3万3500人(教職員約1万7000人を除く)に入れ墨の有無を尋ねた記名式調査で、113人が入れ墨をしていることが判明した。橋下徹市長は、非常によいところにメスを入れてきていると思う。入れ墨職員問題は「官」の抱えている問題をわかりやすく示しているからだ。
公務員は、国家公務員も地方公務員も、スト権を持っていないかわりにクビにすることが法律上できない。ただし、組織改廃時のリストラや勤務実績不良、心身の故障、職務に適格性を欠くといった理由がある時は、組織の維持、確保を目的として免職にすることができる。
いわゆる「分限免職」で、民間企業でいえば解雇にあたるが、懲戒免職と異なり、個人の責任は問われず、通常の退職金を受け取ることができる。これまで大阪市で分限免職はほとんど行なわれておらず、2010年度は0件だが、今後は、公務員として不適格な人物やコンピュータ化によって過剰になる人員を民間企業並みにリストラしていこう、という橋下プランは全国の先駆けとなるものだ。
そうした行政コスト削減によって550億円くらいをカットし、消費税を全額地方税にしてくれたら、大阪市は黒字になって中央から交付金をもらわなくても自立していける、と橋下市長は主張しているのだ。
大阪市と大阪府が合体して「大阪都」になった時のGDPは約38兆円で、ベルギーやノルウェーと肩を並べて世界20位くらいの経済規模になる。“橋下革命”がそこまで進み、世界中からカネ・企業・ヒトを呼び込んで繁栄するサイクルが生まれてくれば、住民も将来的には減税というメリットを享受することができるのである。
※週刊ポスト2012年6月22日号