パナソニックが本社の従業員7000人のうち、3000~4000人を削減すると伝えられた。ソニーやNEC、野村HDといった企業でも大規模なリストラが進行中だ。リストラ対象になりやすい人の新たな傾向はあるのだろうか。
企業の人事問題に詳しいジャーナリスト・溝上憲文氏が話す。
「まず、対象年齢が大幅に下がりました。昔は50代が一般的で、若くても40代後半でしたが、近年は40代前半から、企業によっては入社15年目を過ぎた年代、つまり30代後半まで対象に入ってきています。中でも40代前半、つまりバブル入社組の世代が第1ターゲットになっています。会社の年齢構成で最大のボリュームゾーンになっているので、その年代をスリム化する必要があるからです」
バブル入社組は就職の門も広かったが、皮肉なことにそれゆえにこそリストラの門も広いのである。
入社時には“武器”になったかもしれないが、リストラの対象年齢に入った時には逆に自分を不利に陥れる“凶器”になりかねないのが、高学歴だ。
「東大を始めとする一流大学出身者の場合、優秀な人はどんどん出世していますが、昇進から取り残されている人も多い。そういう人は、仕事ができないのにプライドだけは高いので、非常に扱いにくい。その分、評価が低くなり、真っ先にリストラの要因に挙げられます」(大手企業の人事マン)
リストラの狙いはコストを下げることなので、「能力評価が同じ場合、家族手当、通勤定期代など諸手当を多く支給しなければならない社員はリストラの対象になりやすい。通勤費1000円以上の人は危険」(前出・溝上氏)という。
特別な事情がないのに残業が多い社員も、「経費のかかる社員」と見なされるだけでなく、能力が低いと評価されやすい。
また、会社のパソコンでアダルトサイトやギャンブルサイトなど業務と関係のないサイトを見ている社員も危ない。会社は、社員がどういうサイトを見ているかを把握し、やり取りしているメールの内容も全て見ることができる――もはやこれは常識だろう。
※週刊ポスト2012年6月22日号