日本画の歴史は1300年以上ともいわれ、古来、日本人の伝統芸術として親しまれてきた。その日本画の世界で、実力と美しさを兼ね備えた若手女流画家たちが、めざましい活躍をしている。
その中のひとり、野地美樹子さんは、「影だけで鑑賞者の想像力を刺激する」ことを目指しているという。
「影は決して黒いだけじゃなく、快晴の空に照らされれば青みも帯びる。その場所、瞬間を映す鏡なんです。
『木の影』は私の好きなテーマの一つですが、木を描くのではなく、影を描くことで木、空の色、日差しの強さや温度や湿度までを表現したい。観てくれている人に、まるでその場所にいるかのような空気感を感じてもらえるような影を描きたいですね」
【プロフィール】
のぢ・みきこ 1978年奈良県生まれ。2005年東京藝術大学大学院修了。2001年妙高四季彩芸術展四季彩大賞などを受賞。6月13日~日本橋三越にて開催される『新樹会』『華波の会』に出展予定。
撮影■ヤナガワゴーッ!
※週刊ポスト2012年6月22日号