中国で、いよいよ女性宇宙飛行士の誕生が現実化する。現状、候補となっている女性はともに1978年生まれで空軍女性パイロットの第7期生だという。中国の女性が、宇宙飛行士に選ばれる条件とは何か? ジャーナリストの富坂聰氏が解説する。
* * *
宇宙での実績を着々と積み上げる中国。その中国が次に挑むのが宇宙ステーションとのドッキング実験である。先に打ち上げた天宮一号とドッキングするための神舟九号の打ち上げが迫るなか、中国での話題は何と言っても有人飛行に挑む宇宙飛行士の選抜である。
というのも現在6人いる候補のなかには2人の女性飛行士が含まれていて、計3名の枠に1人が残ることが確実視されてきているからだ。つまり、中国発の女性飛行士が、中国の宇宙開発の歴史に名前を刻もうとしているのだ。
現状、候補となっている女性はともに1978年生まれで空軍女性パイロットの第7期生だという。一人は河南省出身の劉洋。もう一人は山東省出身の王亜平である。なかでも可能性が高いと考えられているのが、広州軍区に所属する空軍中尉の劉洋である。
このところ中国のメディアには、劉の人柄を伝えるような報道がとにかく目立って増えているのだ。
彼女は河南省から長春第一飛行学院に合格して教育課程に入り、その後、2001年6月広州軍区空軍に配属されて空軍のパイロットなった。現在までに4種類の軍用機を操った経験を持つ。
いまや中国人の“模範”と讃えられ始めた劉はもちろん成績優秀で、過去を知る教師は「物静かで大声で話をするようなタイプではなく、堅実で慎重だった」とほめちぎる。興味深いのは彼女をほめる教師が“低調”(自分でアピールすることなく黙々と与えられた仕事をこなして信頼を得るタイプ)という共産党で出世するための伝統的価値観を強調していることだ。
ちなみに女性――とくに既婚者――は孤独に耐える力が備わっているため宇宙飛行士には向いているそうだ。中国メディアによると宇宙飛行士になるためのその他の条件は、「歯が白く、身体から異臭がしないこと」だというのだ。