「いつかは来る」「誰でも通る道」と思っていても、いざその日が来るまでは考えたくないのが、親の介護。でも、介護が必要となったときにまず何をすればいいのか、どんなことを準備しておくべきなのか? 知っておくのは大事なこと。要介護認定の訪問調査の実態をみてみよう。
要介護認定の基本となるのが、認定調査員(以下、調査員)による訪問調査。介護が必要な人の状況を、介護を実際に行う自宅などでみてもらうチャンスがこの時だ。
この訪問調査、実際に介護申請をしてみないとわからないので不安…という人のために、現役の調査員から聞いた話をもとに再現してみた。“いざその日”を迎えるシミュレーションを!
【1】調査員と訪問日の相談
調査員は市区町村の職員か、市区町村から委託を受けた事業所の職員。ケアマネジャーや介護福祉士、社会福祉士などの資格を持つ。市区町村によっては、実際に訪問する調査員ではなく、市区町村の職員から連絡がくることもある。
【2】立会人
調査には、認定を受ける本人のほかに、日常の様子をよく知っている立会人が必要。通常は家族が立会人となり、介護にかかる手間などを伝える。家族がいない場合は、家族以外の近しい人がなることも。
【3】調査員の年齢
調査員の年齢は幅広く30代から上は60代のベテラン調査員も活躍。介護が必要な高齢者について、一定の知識や経験をもっている人が多い。
【4】お茶やお菓子はNG
お菓子を出されたからといって、もちろん調査内容が変わるわけではない。もてなしの気持ちからであっても、かえって迷惑になってしまうので、出さないように。
【5】パンツスタイル
調査は実際に動いてもらうことも多いので、動きやすいパンツスタイルがベター。
【6】痛いところは?
お年寄りには“病気自慢”の人も多く、かかった病気の話を長々とする人も。調査時間が長くなってしまうので、家族が上手に話を止めて。
【7】無理なさらなくても…
特に男性の場合、調査員の女性の前でいいところを見せようと無理する人も多いとか。あくまでも実際にどのくらいできるのかが重要で、見栄をはる必要はまったくない。“できること”より“できないこと”を伝えることが重要になる。
“要介護度が重く認定されると、使えるサービス量が増えるので得”と、訪問調査で状態をわざと悪く答える高齢者もいるというが、介護・医療ジャーナリストの長岡美代さんは次のようにいう。
「74項目の答えで辻褄の合わないことがあれば、コンピューターがはじきます。介護サービスの種類によっては要介護度が重い人のほうが、利用時の費用が高く設定されている場合もあるので、必ずしも得ということはありません」
※女性セブン2012年6月28日号