消費税が導入された時、税率が5%に上がった時、大マスコミも野党も一緒になって“増税しましょうキャンペーン”をやっていただろうか。民主、自民、公明ら“増税党”の連中は、理なき悪政を押し通すため、世にも奇妙な論をひねり出した。曰く、“あの悪党の小沢が反対する増税だから正義なのだ”――。
では「小沢派だけが増税反対」なのか。民主党政調会長代理、参院政策審議会長の桜井充・前財務副大臣に聞いた。
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消費増税法案に反対しているのは小沢派だけだというのは、マスコミのミスリードです。前原政調会長と近い政調メンバーの若手も、政調や幹事長室の会議で、「いま法案を採決すべきではない」とはっきり主張している。
消費税を上げるなら、その前に議員定数削減や行財政改革をやってからにするべきだというもので、党内のかなりの議員は同じ考えです。
我々は何をめざして政権交代したか。新自由主義と決別し、疲弊した地方からこの国を再生させよう。格差を是正する社会をつくるために、社会保障をどうするかを議論してきた。その理念を守れば党内で議論を集約できるはずです。
ところが、現在の政府のあり方は、何でもいいから消費税増税です。税率引き上げは2年後で、やるべき改革に取り組む時間は十分あるのだから、野田総理は採決を急ぐ必要はない。
実は、財務省はもともと財政再建のために増税をやりたかった。私は副大臣のとき、「財政再建のための増税なら景気刺激策とセットにすべきだ」と主張した。増税で景気が悪化し、橋本内閣当時のように税率を上げても税収が減れば目的が達成できないからです。
しかし、体制が変わって「財政再建のため」ではなく、社会保障との一体改革で、増税の税収は全部社会保障に使うと言い出した。財務省はそういわないと国民の理解が得られないと思ったのでしょう。
それならまず社会保障改革のメニューを確定させなければならない。自公は法案修正協議で総合こども園を撤回せよ、低所得者への年金をもっと増やすべきと主張している。社会保障政策が変われば必要な金額も税率も変わってくる。ますます消費税増税を先行させる根拠は失われている。本当は、いまになって「財政再建のための増税なんです」といえないから、財務省は困っているわけです。
もちろん、党内に濃淡はあります。小沢先生は地域主権改革をまずやるべきだという考えで、それは非常に大きな改革だから何年もかかる。そこまでやらないと消費税に手を付けるべきではないかは別にして、増税の前にやるべきことがあるという考え方は同じ。
党内の9割は増税問題で党が割れないようにいまは採決すべきではないと考えている。幹部の中には「大連立」とかいって党が割れても増税をやらなきゃいけないと考えている人もいるが、それは一部にすぎない。
それなのにマスコミによってわざと党内対立の構図がつくられているのです。
※週刊ポスト2012年6月29日号