国内

「民主党・小沢派だけが増税反対」はマスコミのミスリード

 消費税が導入された時、税率が5%に上がった時、大マスコミも野党も一緒になって“増税しましょうキャンペーン”をやっていただろうか。民主、自民、公明ら“増税党”の連中は、理なき悪政を押し通すため、世にも奇妙な論をひねり出した。曰く、“あの悪党の小沢が反対する増税だから正義なのだ”――。

 では「小沢派だけが増税反対」なのか。民主党政調会長代理、参院政策審議会長の桜井充・前財務副大臣に聞いた。

 * * *
 消費増税法案に反対しているのは小沢派だけだというのは、マスコミのミスリードです。前原政調会長と近い政調メンバーの若手も、政調や幹事長室の会議で、「いま法案を採決すべきではない」とはっきり主張している。

 消費税を上げるなら、その前に議員定数削減や行財政改革をやってからにするべきだというもので、党内のかなりの議員は同じ考えです。
 
 我々は何をめざして政権交代したか。新自由主義と決別し、疲弊した地方からこの国を再生させよう。格差を是正する社会をつくるために、社会保障をどうするかを議論してきた。その理念を守れば党内で議論を集約できるはずです。

 ところが、現在の政府のあり方は、何でもいいから消費税増税です。税率引き上げは2年後で、やるべき改革に取り組む時間は十分あるのだから、野田総理は採決を急ぐ必要はない。

 実は、財務省はもともと財政再建のために増税をやりたかった。私は副大臣のとき、「財政再建のための増税なら景気刺激策とセットにすべきだ」と主張した。増税で景気が悪化し、橋本内閣当時のように税率を上げても税収が減れば目的が達成できないからです。

 しかし、体制が変わって「財政再建のため」ではなく、社会保障との一体改革で、増税の税収は全部社会保障に使うと言い出した。財務省はそういわないと国民の理解が得られないと思ったのでしょう。

 それならまず社会保障改革のメニューを確定させなければならない。自公は法案修正協議で総合こども園を撤回せよ、低所得者への年金をもっと増やすべきと主張している。社会保障政策が変われば必要な金額も税率も変わってくる。ますます消費税増税を先行させる根拠は失われている。本当は、いまになって「財政再建のための増税なんです」といえないから、財務省は困っているわけです。

 もちろん、党内に濃淡はあります。小沢先生は地域主権改革をまずやるべきだという考えで、それは非常に大きな改革だから何年もかかる。そこまでやらないと消費税に手を付けるべきではないかは別にして、増税の前にやるべきことがあるという考え方は同じ。

 党内の9割は増税問題で党が割れないようにいまは採決すべきではないと考えている。幹部の中には「大連立」とかいって党が割れても増税をやらなきゃいけないと考えている人もいるが、それは一部にすぎない。

 それなのにマスコミによってわざと党内対立の構図がつくられているのです。

※週刊ポスト2012年6月29日号

関連記事

トピックス

天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン