一般企業ではノーメイクの女性社員に社内で遭遇することはまずない。女性たちはすっぴんを見られるのを非常に嫌がるからだ。
素顔より裸を見られるほうがマシ、という声すらある。たとえベッドインする時でも「化粧を落とした所だけは見ないで!」と顔を隠す女性もいれば、観光地で女湯の暖簾をくぐって出てくる浴衣姿も、たいがいメイクはバッチリだ。
しかしテレビ局、こと女子アナに関しては話が違う。意外なことに、彼女たちは有名タレントや業界人がひしめく局内をすっぴんのまま闊歩しているのである。
ひとつは、業務上の理由がある。「番組出演前の女子アナは、局内のメイク室でプロにバッチリ化粧をしてもらう。自宅でメイクしてくると二度手間になるんです」(キー局社員)
特に、朝の情報番組に出演する女子アナは午前3~5時起きが普通だ。だから朝起きたままの顔で会社にやってくるのは当然というわけ。しかし彼女たちがすっぴんを晒す理由はそれだけじゃない。ある局の女性営業社員は「あれは同性への威嚇行為」だと断じる。
「アナウンスルームは女の園。女子アナたちは男性からの評価より女性からの評価のほうが気になるんです。テレビ画面でいくら綺麗でも、“どうせメイクと照明のおかげ”と陰口を叩かれる。自分のすっぴんを社内で見せつけるということは、“私は素顔でもこんなに綺麗”“若さを保っている”という同性のライバルたちへの牽制の意味が大きいんです」
※週刊ポスト2012年6月29日号