民主党、自民党、公明党による消費増税を主体とした税と社会保障の一体改革案が大詰めを迎えている。この3党はまさに一体となって「大日本増税党」を結成しようとしている。
増税党「野田派」のマニフェストを代筆するとこうなる。
【役人の生活が第一。増税で国民の生活は切り捨て、富を官僚に集め、役人天国を目指します。】
野田佳彦首相と同じく財務大臣出身で官僚の後ろ盾によって政界を泳いできた自民党の谷垣禎一・総裁だが、実は、消費税法案の成立より解散を最優先にしている。野田首相に、「法案に協力してほしければ小沢元代表を切れ」と何度も迫るのは保身のためだ。出身派閥の自民党古賀派議員がいう。
「このままなら谷垣さんは9月の自民党総裁選でクビ。党内で“野田政権を解散に追い込む”と大見得を切ってきたから、それができなければ派閥からも見離され、推薦人20人も集まりそうにないから出馬断念だろう」
だから野田首相に「法案に協力する」と持ちかけて採決を急がせ、民主党の分裂を誘って自爆解散に追い込んでいく――という騙し討ち作戦である。いってみれば増税は権力の座につくための道具に過ぎない。
自民党は2010年の参院選マニフェストで「今さえよければいいのではない! 日本さえよければいいのではない! 私たちは全力で訴えます」と書いた。それをもとに谷垣氏の胸の内を代筆してみよう。
【国民さえよければいいのではない! 民主党さえよければいいのではない! 私の出世を全力で訴えます。】
もっとも、民自の増税連立派にとっては、野田首相も谷垣氏もしょせん使い捨ての駒でしかない。原発再稼働の黒幕、仙谷由人・民主党政調会長代行は大連立の狙いをわかりやすく語っている。
「民主、自民、公明各党とも消費税や原発問題を選挙の争点にするのはいかがなものかとの気持ちがある。争点にならないように連立を組むのが一番素直だ」(BS朝日の番組)
いま選挙をすれば民主党はボロ負け、自民党にも有権者の支持はない。そこで総選挙を先送りして大連立を組み、自公民で増税と再稼働をやれば、有権者は選挙で怒りのやり場がなくなる。議員の身分を守る選挙互助会の発想だ。大連立派のマニフェストを清書するとこうなる。
【有権者に選択肢は与えません。政治家が安心して生活できる環境整備に励みます。】
※週刊ポスト2012年6月29日号