6月15日に逮捕された元オウム真理教信者の高橋克也容疑者(54)。勤務先の寮を飛び出してから1週間で、4度も防犯カメラによる画像が公開された。驚くのは金融機関以外にも、駅前、ショッピングセンターの前など、あらゆる場所にカメラが設置されており、高橋の動きを監視できていたことだ。
今、国内で稼働中の防犯を中心とする監視カメラの台数は約350万台ともいわれている。日本防犯設備協会によると防犯カメラシステムの市場は、2007年度の2123億円をピークに近年は減少し続け、2010年度は1360億円。しかし、これは市場が縮小傾向にあることを示しているわけではない。
「近年は人々の防犯への意識が高まり、防犯カメラのニーズが上昇。メーカー間の競争が生まれ、価格が低下したため、市場が縮少しているように見えているのです。出荷台数自体は増えていると感じています」(日本防犯設備協会)
ニーズの高まりを受け、防犯カメラは日進月歩の進化を遂げている。NPO法人日本防犯学校の学長で防犯アナリストの梅本正行氏がいう。
「以前はモノクロで不鮮明でしたが、最近ではカラーでデジカメ並の高画質は当たり前。カメラがネットワークでつながり、怪しい人物を写しだしたら瞬時に画像を転送するシステムもできている。これまでは犯人がそこに『いた』を確認するものでしたが、今は、そこに『いる』ことも知れるのです」
※週刊ポスト2012年6月29日号