大島優子の返り咲き1位で幕を閉じた『第4回AKB48選抜総選挙』。世間的に大きな注目を集めたこのイベントを、流通ジャーナリストの金子哲雄氏が分析。AKB48がこれだけ人気を集めた理由とは?
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いま、学校では競争というものが避けられています。運動会の徒競走で順位をつけなかったり、学芸会で白雪姫が7人も舞台に立ったり。
アイドルグループにおいても、メンバーの人気を格付けするというのは、従来の芸能界ではタブーでした。そこにAKB48は競争原理を持ちこんだのです。メンバー同士も競い合い、自分の個性をアピールしようと差別化するので、CDも売れるし書籍も売れる。音楽業界や出版業界の市場を盛り上げています。自由競争が市場を活性化するという経済原理そのものを体現していますよね。
ひるがえって日本の企業を見ると、競争しているようで、差別化ではなく同質化しちゃってるんですね。たとえばテレビ。メーカーは画質が違うというけれども、消費者から見たら大して違わない。冷蔵庫もみんな野菜室を大きくして急速冷凍になって。
で、家電量販店に行けば各メーカー製品がいくつも並んでいるけれども、機能の違いや特徴がわかりづらい。結局、価格で選ぶ。それで価格競争だけになり、市場は不毛な戦いになるんです。製品・サービスの同質化が、いまのデフレの原因のひとつでしょう。外食産業では牛丼チェーン店も差別化できず、どこも似たテイストで、価格競争に陥ってしまいました。
※女性セブン2012年6月28日号