6月27日に予定される関西電力の株主総会で大阪市の橋下徹市長が“大暴れ”するのは衆目一致するところだ。
大阪市は関電株の約9%を保有する筆頭株主。名義代表人は「大阪市長・橋下徹」である。その橋下氏は株主提案を行なった4月の段階で「会場に行く」と、自ら総会に出席することを明言した。しかも、当日は橋下氏が単身で乗り込むという。
「株主本人か代理人でないと出席できないので、随行の幹部職員は会場外で待機し、市長自ら議案説明をすることになります」(大阪市環境施策課)
市役所幹部はこう漏らす。
「市長が興奮したり激高したりしたら、なだめる者はいない。市長一人で総会を大荒れにすることも考えられる」
橋下氏は関電総会への“殴り込み”に並々ならぬ意欲を燃やしている。大阪市は4月に提出した株主提案で、「速やかな原発の全廃」のほか、「発電部門と送配電部門の分離」「取締役の半減」など10項目を関電に要求した。
だが、6月7日に関電が株主に送付した株主総会招集通知では、これら10項目が総会の決議事項に載せられたものの、すべてに「取締役会は反対」との意見が添えられていた。つまり、“否決は既定路線です”という「ゼロ回答」だ。
さらに橋下氏の怒りを増幅させたのが、大飯原発再稼働を巡る経緯だった。橋下氏は6月1日、大飯原発の再稼働について「夏季限定であれば容認せざるを得ない」と折れ、「負けたと思われても仕方ない」と“敗北宣言”をした。
しかし、野田首相は8日の記者会見で、「夏場限定の再稼働では国民生活を守れない」と表明し、大阪市などの要求を拒否。これに対して大阪府市エネルギー戦略会議は翌9日に、「稼働は9月過ぎまで」という緊急声明を発表し、政府と関電を猛烈に批判した。エネルギー問題を担当する橋下ブレーンは怒りを露わにする。
「市長の妥協を口実に、永続的な再稼働がなし崩しに進んでいる。“原発が止まるのも橋下のせい、原発を動かすのも橋下のせい”と、責任を押しつけられた。政府と関電による騙し討ちだ」
実際、大飯再稼働問題は橋下人気に影響を及ぼしている。1日の“敗北宣言”後に実施された毎日新聞とMBSの合同調査では、大阪市民の「橋下支持率」は54%。依然として高い支持率だが、知事時代より約10数ポイント落ちていたため、毎日は〈知事時代より低下〉と見出しを打った。
「大阪維新の会」関係者は危機感を募らせる。
「再稼働容認で市民が市長の突破力に疑問を抱いたことが最大の理由だろう。挽回するためには、“敗北宣言”の失点を補って余りあるインパクトを株主総会で与える必要がある」
※週刊ポスト2012年6月29日号