いまどきの若者は割り勘が主流である。ニュースサイト『マイナビニュース』が3月に行なったデート代に関するアンケート調査(20~30代を中心とするネット会員1000人が対象)では、実に6割以上が割り勘カップルといえるという結果が出た。
だが、「おごらない若者」を嘆く声も少なくない。『島耕作』シリーズで知られる漫画家の弘兼憲史氏(64)はこういう。
「『島耕作』には女性に支払わせる場面など描いたことがありません。かつては友達に借金してでも女に払わせないというのが男の美学だった。経済的なことを考えたら今の若者たちが正しいのかも知れないけど、感情論としては嘆かわしいですよ、男として」
いかにも割り勘してそうな(失礼!)経済アナリストの森永卓郎氏(54)も意外や「おごり派」だという。
「私はバブル期に三井物産の子会社にいましたが、同僚女性との食事でも常におごっていました。彼女たちは一応財布は出すけれども、全然指に力が入っていない。超高級料理店を勝手に予約した女がいて、ソムリエに『どんなワインがお好みですか?』って聞かれて『私古いのが好き』っていったときは絞め殺してやろうかと思った(笑い)。それでも食事してくれるだけでありがたいから、おごります。経済学的に見ても、費用対効果を考える割り勘より、男がおごるほうが、無駄遣いするから景気はいい」
こうした上の世代の意見に対して、若者たちの生態に詳しいライターの速水健朗氏(38)はこういう。
「デートマニュアル本で読んだからおごりの美学は理解できるけど、それにはついていけない。ポストバブル世代は割り勘が当然だし、むしろ相手に気を使わせない支払い方や割り勘計算が、デート能力の高さとみなされているのでは?」
※週刊ポスト2012年6月29日号