今年2月、京都大学の研究グループによってトマトに脂質の代謝を促進させる成分があることが発表されて以来、トマトダイエットが話題となり、一時はスーパーやコンビニの売り場からトマトやトマトジュースが姿を消すという人気ぶりである。さらにトマトの旬である夏を目前に、NHKの朝の情報番組『あさイチ』(6月11日放送分)で、またまたトマトが大きく取り上げられた。
今回、特に注目されたのはトマトに多く含まれる成分「リコピン」。リコピンは強い抗酸化作用があり、その作用はβ-カロテンの約2倍以上、ビタミンEの約100倍以上だという。番組では、リコピンがメラニン色素の生成を促進する活性酸素を消去することで、日焼けやシミ・そばかす予防にいいだけでなく、トマトを毎日摂取することで目の下の小ジワが薄くなったという実験結果や気管支ぜんそくの緩和にも効果が期待できるという説を紹介。さらにトマトのリコピンを効率的に摂取する方法として、
1、加熱する
2、油分と一緒に
3、β‐カロテンと一緒に
4、ジュースやケチャップなどの加工品で
という4つのポイントなどもアドバイスされた。
そんなトマトのリコピンパワーをさらに知るべく、『あさイチ』でも取材されていたカゴメにさらに詳しく話を聞いた。カゴメ広報グループ・仲村さんは、トマトに含まれるリコピンの含有量と、体内への吸収率について次のように説明する。
「トマトのリコピンにはさまざまな効果がありますが、『あさイチ』でも紹介されたように、実は、生よりジュースなどの加工品の方が、トマトの細胞を破砕や加熱によって壊すことで体内に吸収されやすくなります。吸収率は生に比べて加工品の方が3.8倍というデータもあります。
しかも、一般に売られている生食用トマトに比べてジュース用トマトはリコピン含有量が2~3倍も多く、トマトジュース無塩タイプの160グラム缶には(ジュース用の)トマト2.5個分が入っているんです」
つまり、そもそもリコピン含有量が多いジュース用トマトで作られたトマトジュースには、通常生食として食べるトマト(以下「生食用トマト」)よりも相当多いリコピンが含まれていることになる。筆者が単純計算してみたところ、トマトジュース160グラム缶を1本飲めば、生食用トマトの2倍以上のリコピンを含んだトマト(=ジュース用トマト)×2.5個分ということで、生食用トマト5個分以上のリコピンを摂取できることになるではないか。ちなみにカゴメでは無塩タイプが160グラムから、有塩タイプが190グラムからの展開。190グラムではジュース用トマト3個分が入っているという。
13日には、カゴメがロンドンオリンピック代表のマラソンランナー・藤原新選手のスポンサーになったという記者発表がおこなわれた。
「藤原選手が大のトマト好きで、毎朝の食事にトマトを欠かさず食べていることや、地方や遠征先ではトマトの代りにトマトジュースを飲んでいるというご縁で、当社が藤原選手への食を通じたサポートや研究情報の提供なども行わせていただくことになりました。
そのほか血中アルコール濃度低下作用もあり、トマトジュースでお酒を割って飲むと酔いが回りにくくなり、酔い醒めも早くなるという実験結果もあります」(仲村さん)