「株価10倍を狙える銘柄」といわれてもにわかに信じられないかもしれない。だが、世界には素晴らしいポテンシャルを秘めた魅力的な銘柄が、たしかに存在する。では、どこの、どんな銘柄がその条件にあてはまるのか。海外投資のカリスマとして知られるグローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏が解説する。
* * *
現在、世界の株式市場には、実際に売買され、ある程度の流動性を持つ銘柄が約6万6000程度ある。そこで今回は、その膨大な銘柄群のなかから「明日の超新星銘柄」を探し当てるべく、以下の3条件でスクリーニングを実施した。
【1】成長性=EPS(1株当たり利益)予想成長率が今後3年で平均約3割(28%)以上伸びる見通し。
【2】収益性=ROE(株主資本利益率)が20%以上
【3】健全性=自己資本比率が45%以上
成長率、ROEがともに30%以上、自己資本比率に至っては60%以上と3つの条件が高位でバランスよく揃っているのが、「中国のグーグル」といわれる百度(バイドゥ・BIDU)と、「南米の楽天」とも称されるメルカド・リブレ(MELI)の2社だ。
中国の検索エンジン最大手として圧倒的なシェアを誇る百度は、米グーグルの中国本土からの撤退もあって拡大の一途を辿っている。4月16日に発表された2011年10~12月期決算は前期比77%の大幅増益と業績も好調そのもの。
すでに株価はここ3年で10倍以上になっているが、今後の中国のインターネット人口の伸びを考えると、まだまだ上値が望めるに違いない。何しろ中国のネット人口は5億人に達したとはいえ、まだ総人口の半分以下。
しかも1人当たりGDP(国内総生産)は米国の10分の1にすぎず、今後国民の所得が大きく上昇していくことを考えると、潜在成長性は莫大なものがある。ここからさらに株価が10倍にまで膨らむ余地も十分にあるだろう。
一方、ブラジルやアルゼンチンなど中南米各国で電子商取引サイトを運営するメルカド・リブレは、同地域でダントツのシェアを持ち、新規登録ユーザー数は右肩上がりが続き、累計では12 年末に8000万人、13年末には1億人に達する見通しだ。
加えて、南米のブロードバンド普及率はまだまだ低いため、その拡大に伴ってさらなる成長が期待できる。実際、証券会社のレポートによれば、2019年の業績は2011年の6倍以上になるとの予想もあり、今後の爆発的な伸びが確実視されているのだ。
いずれも本国ではなく、米国市場に上場する両社は、今後株価10倍を目指せる「明日の超新星銘柄」の筆頭格といえ、“これを買っておけば間違いない”王道成長株と位置付けられる。チャートをみても、短期的な急騰が目立つ“一発屋”とは一線を画し、緩やかな上昇トレンドをずっと描いてきており、力強さを感じさせる。
※マネーポスト2012年夏号