“誰も住まなくなった実家をどうするか”に悩む人が全国的に増えている。話題の書『田舎の家のたたみ方』(メディアファクトリー)や『相続問題撲滅ノート』(実業之日本社)の著者である三星雅人さんは、相続にまつわる豊富な取材経験から、問題点をこう指摘する。
「空き家になった地方の家を放置する気はなくても、都会に基盤のある人はすぐに帰るわけにはいきません。また、売却しようにも土地の相続手続きがきちんとされていなかったり、隣家との境界線が曖昧だったりで、売るに売れないこともあります。
とはいえ、空き家を放置すると、治安面・防災面での問題も多く、知らぬ存ぜぬを決め込んでもいいことはひとつもありません。真摯に向き合うことが解決への第一歩です」
2008年・総務省の『住宅・土地統計調査』でも、空き家率は13.1%と増加の一途。売り物件、賃貸物件を含め、一戸建て住宅の空き家は268万戸と過去最高の水準にある。
「相続以外にも、地方に住んでいる親を都会に呼び寄せたり、施設に入所させたりするケースが増えているため、多くの人が実家の処分を検討する必要に迫られています。これまでの日本にはなかった現象です」(三星さん・以下同)
実家が空き家になるとこんなに大変なこともある。
ひとつは、空き家になった実家に空き巣が入ること。金品の被害はたいしたことがなくとも、空き巣にはいられたという防犯面での不安を近所に与える影響は大きい。
「親戚や近所の親しい人に、定期的な見回りを頼むなどの対策を講じる必要があります」
もうひとつは、浮浪者や子供らのたまり場になったという例。
「荒れ放題になると、浮浪者がはいり込んで生活したり、子供たちがたまり場にすることも。たばこやシンナー遊びなどの非行や犯罪の温床になりやすいだけでなく、たばこやたき火から火事になり、近隣に火が回る危険もあります」
廃屋の家の破片が台風で飛んだといった自然災害による被害も。
「修理の行き届いた家なら問題ありません。しかし、明らかに放置して危険な状態だった家が崩れたり、破片が飛んで他人に被害を与えた場合は、責任を問われる可能性が大きいので注意を。しっかり管理していないと裁判沙汰になる可能性も!」
※女性セブン2012年7月5日号