親の死は誰にも突然訪れるもの。実家の土地や建物を大事に持っていても、使わないなら宝の持ち腐れ。早めに処分したほうが経済的・精神的負担が軽くなるとの意見も多いが、専門家に最近の事情を聞いた。
まず、建物ごと売る場合について、
「最近は、田舎暮らしや移住派向けの専門媒体に注目が集まっています」
と話すのは、話題の書『田舎の家のたたみ方』(メディアファクトリー)や『相続問題撲滅ノート』(実業之日本社)の著者である三星雅人さん。
全国レベルで、長年、田舎物件を扱ってきたのが、ふるさと情報館の『ふるさとネットワーク』とレゾンの『リゾート物件情報』の2誌。いずれも掲載料は無料で、売買成立時に仲介手数料などが発生する方式を採用している。
とはいえ、「地方の物件は、未相続や隣家との曖昧な境界線問題を解消しないと売れない場合もあるんです」と、ふるさと情報館・代表の佐藤彰啓(あきひろ)さんはいう。
また、前出・三星さんは「地方でも、住宅街の中にある家などは、都会の人が憧れるいわゆる“田舎の家”とは異なるため、注目されません。さらに、地元の人には魅力を感じてもらえず売りづらいので、地元の不動者業者が買い取りに難色を示すことも多いんです」と話す。問題点が多いのが現状だ。
一方、更地にして売る場合のメリットを三星さんは次のように挙げる。
「古びた家屋の放置は火事や飛来物、犯罪の温床になりやすいなどリスクの宝庫。こうした古屋を更地にすれば、そういった煩わしさから解放されるのは間違いありません」
しかし、空き家になった実家を更地にするには、・解体費用(坪単価:関東3.5万~4万円、その他2.5万~3万円)、・不用品処分代、・小規模住宅地(200平方メートル以下)では土地の固定資産税が建物があったときに比べ6倍にも上がるなど、費用面での負担が多い。
さらに解体サポート・池貝充隆さんは次のような経済的負担がかかるという。
「この他、井戸がある場合は、神主さんを呼んでのお祓いに1万~3万円、仏壇の魂抜きに1万円程度、不用品処分を解体時に頼むと4tトラック1台分で7万~8万円程度になります」
※女性セブン2012年7月5日号