毎日、何気なく飲んでいるお茶。健康にもいいということもよく知られているが、実際にどのような成分が含まれているのだろうか。
「緑茶には茶カテキンというポリフェノールの成分が含まれていますが、これが人間の体にさまざまなよい効果をもたらすことがわかってきました」
というのは、野菜茶業研究所上席研究員の山本万里さん。日本一のお茶の産地として知られる静岡では、緑茶を毎日飲むことで、健康が維持される傾向が高いと山本さんは分析する。2012年の健康寿命の統計(厚生労働省)で静岡県が女性1位、男性2位という快挙は、何よりの証拠だ。
また、茶カテキンの一種・エピガロカテキンガレート(EGCG)は、がん細胞が隣接組織へ転移するのを抑制する働きがあるという研究結果がある。
「他にも茶カテキンには、抗がん、抗酸化、アンチエイジングなどの効果が期待されています。1日5杯以上飲むことで体に必要なカテキンが摂取できますよ」(山本さん・以下同)
さらに緑茶にはビタミン類も含まれ、疲労回復や美容効果にもいいとされている。
家族で気軽に飲める緑茶。しかし水分補給やリラックス効果だけでなく、多くのパワーをくれる万能薬でもある。
緑茶に含まれるカテキンが体によいといわれる理由とは、カテキンが殺菌力に優れ、腸内の大事な菌は守りつつ、悪玉菌のみを殺す機能があるためだ。
「さらに抗酸化力もあり、がんの抑制効果も期待されています。コレステロール値を下げ、脂質代謝改善を促すので生活習慣病予防にもなるとされていますし、1日5杯以上飲んでいる人は、認知症の発症率が低いという調査結果も出ています」
また、90℃以上の高温で、カテキンは一気に抽出されるという。
「お茶の味、つまり苦みや渋み、うま味を決める成分は、それぞれが健康に非常によい成分なのですが、このうち、渋み成分のカテキンや苦み成分のカフェインは、90℃以上で一気に抽出される性質があります。一方、うま味成分であるグルタミン酸やテアニンというアミノ酸は、70~75℃くらいの低温で抽出されやすいという性質があります」
カテキンを体に効率よく取り込みたいなら、一気飲みがおすすめだそう。
「ちびちびではなく、一気に飲むことでカテキンの血中濃度が上がります。1回2g程度の茶葉を入れた急須に150~200ccのお湯を入れ、茶をいれたあと、飲みやすい温度に冷まして。これを1杯とし、1日に5杯以上飲むと、体内にカテキンが長くとどまります」
香りを楽しむなら新茶だが、カテキンを多く摂るなら、二番茶、三番茶を選ぶべきという。
「カテキンは、太陽の光に多くあたり、気温が高くなることで増える。新茶が作られるころはまだ寒い時期で太陽の力も弱いので、太陽光を多く浴びた二番茶、三番茶のほうがカテキンの量は1.5倍ほど多くなります」
※女性セブン2012年7月5日号