タレントを揃えた重量打線もシーズン前半戦は貧打に苦しみ、チーム勝率も5割ラインで行ったり来たり。タイガースファンのイライラは募るばかりだ。バットを湿らせる梅雨はいつ明けるのか。頼れるアニキ・金本知憲に直撃!
――交流戦ではライバル巨人が優勝を果たした一方、阪神は8位に沈んだ。前半戦を振り返って、チームが浮上しない理由は?
金本(以下同)「ピッチャーはしっかり抑えていて、全体的に調子がいい。(藤川)球児が交流戦終盤に怪我して離脱したけど、本人は明るかったからすぐ戻ってくるでしょう。欲をいえば、ジェフ(ウィリアムス、現・駐米スカウト)のような安定感のあるセットアッパーが出てくれば盤石です。
やはり、打てない、点が取れない打線が深刻です。僕を含めて、新井(貴浩)やマートンらの調子が上がらない。いまの成績で僕が4番を打つことが、打線に元気がない証拠です」
――ファンは4番・金本に何とかしてもらいたい。
「5月4日、甲子園球場で2年ぶりに“4番・金本”がコールされたとき、球場が沸いた。ファンの気持ちは本当に嬉しかったけど、正直、もっと良い状態で4番に復帰したかった。前日の移動の新幹線の中で片岡篤史・打撃コーチから“明日から4番お願いします”というメールをもらったけど、“少し早いかな”って返した」
――“早い”とは?
「いつか4番を打たなければいけないという意識はあった。4番だったウチの背番号25(新井)は必ずコケると思ってたから(笑い)。それにしても、夏までは踏ん張ってほしかったなァ」
――まだ肩の調子が万全ではないのか。
「2年前に右肩の棘上筋を断裂し、同時に周辺の筋肉や神経も傷つけてしまった。気温が肩の状態に影響するので、4~5月のシーズン序盤は気温との戦いでした。朝起きて、水を飲むために右手でコップが取れれば、“今日は調子がいいな”という感じです。6月に入って、投げるのは気にならない状態まできた。あとはバットを振る筋肉の反射や機能が万全になれば打撃でも本調子が出てくる」
――雨の甲子園で行なわれたオリックス戦(6月8日)。ライトスタンド中段に特大の逆転3ランを放った。
「あれは飛んでましたね。自分でも驚いた(笑い)。でも、まだダメです。あれが左中間方向に飛んでくれないと。いまの肩の調子では、ボールを外から巻き込むように引っ張ってライト方向に打つことはできるけど、右手リードでセンターからレフト方向に強い打球を打つことができない。夏に向けて左中間にヒットやホームランがでれば、調子が上向いてきた証拠です。
ただ、いまの阪神打線を支えるのは僕だけじゃない。交流戦の終盤にはブラゼルがひとり気を吐いただけで打線の雰囲気がガラリと変わった。鳥谷(敬)も調子を上げてきている。僕を含めて2~3人が当たり始めれば3連戦に勝ち越して貯金することはそう難しくない。ブラゼルがチーム立ち直りのきっかけをくれた」
※週刊ポスト2012年7月6日号