夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せられたのは、ご主人(44歳)が住宅メーカー勤務の奥様(43歳)。高校生と中学生の娘さんがいます。
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土曜日、娘たちは泊まりがけで私の実家へ。夕食は久しぶりの夫婦水入らずです。「何か照れるなあ」と、ビールを飲みながら、鼻の頭をかく主人。「飲み過ぎないでね。今夜はふたりっきりなんだから」「久しぶりに頑張っちゃおうかなあ」
食後、リビングへ。「ちょっと眠くなってきたな」「じゃあ、私のひざ枕で寝て」「新婚以来だよ」主人は私のひざに頭を乗せ、うたた寝です。
そして1時間後、目を覚ました主人は腕時計を覗き込むと、「まずい、こんな時間だ! オレ、帰るわ!」パッと飛び起き、私の顔を見て「アッ!」。
「帰るって、どこによ?」「いや、その……」「アナタ、浮気してるわね!」最初はゴロゴロッぐらいで追及しながら、最後は大音響の雷を落とそうとしたら、「オレは『帰る』なんていってない! 証拠のテープでもあるのか?」と大声を張り上げ、居直る主人。
呆れた! でも、ケンカして仲が悪くなると娘たちもかわいそうだし、ここはグレーゾーンのまま、終わらせちゃえばいいんだわ。
「それじゃ、アナタ、帰らなくていいのね?」「当たり前だ!」「じゃあ、私が帰るわ、実家に。娘たちもいるし、一晩泊まってくる」「オイオイ! 今夜は久しぶりに頑張る予定だったんだぞ!」「勝手にどうぞ!」
※週刊ポスト2012年7月6日号