メキシコでのG20サミットに強行軍で出席した野田首相。だがオバマ大統領とは数分間の立ち話に終わり、プーチン大統領と念願の日露首脳会談に臨むも、柔道着と犬の紹介に時間を費やした感がある。
だが、野田首相はめげない。世界に胸を張れる“晴れ舞台”があると思っていたからだ。
G20の首脳会議で、野田首相は「消費税増税の合意に漕ぎ着けた」とアピールしてみせた。5月のG8サミットでは「日本経済を消費税増税で立て直す」と国際公約しており、今回はその実績を自信満々の表情で発表してみせた。
これがアメリカや欧米諸国の思うままであることは、本誌前号で、産経新聞編集・論説委員の田村秀男氏が「海外は日本がデフレ対策を行なわないまま増税してくれた方が都合がいい。日本が内需拡大に動けば、個人資産は日本国内を循環するだけで海外の取り分が減ってしまうからだ」と喝破している。
また、野田首相は先のG8サミットでIMFに600億ドルの拠出を表明した。だが、野党時代、野田氏は著書『民衆の敵 政権交代に大義あり』(新潮新書)でこう述べている。
〈なぜ、日本だけが突出して大判振る舞いしなければならないのでしょうか(中略)国際機関への拠出よりも、本当に困っている国を個別に直接支援するほうが、日本の存在感を高めることができたのではないでしょうか〉
2008年には自身のホームページで、当時の麻生首相がIMFに1000億ドルの拠出を決めたことについて、〈国際社会でもばらまき政策で存在感を示そうとしている。米国の次期大統領は『バラク・オバマ』さん、日本の首相は言葉がすべる『バラマキ・オバカ』さん〉と批判していた。言行不一致も甚だしいが、“プレゼントを渡さないと誰もトモダチになってくれない”と考えているのだろう。
※週刊ポスト2012年7月6日号