米軍が普天間飛行場で計画している新型輸送機「オスプレイ」(※注)の配備問題について、野田首相は「オスプレイは意義は規定路線」とゴリ押しし、外務・防衛の関係省庁も「オスプレイは安全」キャンペーンを展開している。だが本当に安全なのか。軍事ジャーナリストの前田哲男氏が指摘する。
「オスプレイ配備は日米安保条約の『装備の重要な変更』に該当し、日米が事前協議を行なうべき内容です。しかし政府は『装備の一部変更』として米国と協議さえせず、安全で高性能との説明を繰り返すだけ。沖縄が求めているのは、『安全性の確保』なのです」
玄葉光一郎・外相、森本敏・防衛相の両大臣の搭乗計画は「口先だけ」の可能性が高いが、実際に「オスプレイに乗った」議員がいる。沖縄選出の下地幹郎・代議士である。
「怖くなかったかといわれれば、そりゃ怖いに決まってます。家族からも心配されました。家族を乗せられるかって? 僕だけでいいです」
さらに下地氏はこう続ける。
「危険なところを米国側が見せるとは思えないし、今年すでに2回も事故が続いたのは事実。飛ばすからには、住民の不安を払拭してからでなくてはならない。僕は野田首相や関係閣僚も乗ってみるべきだと思いますよ。安全だというなら、政府専用機にするくらいの気持ちが必要。それで1年ほど乗って移動してみせればいいんです」
【※注】オスプレイ:両翼に備えられた2つの回転翼の角度を変えることにより、ヘリコプターのような垂直離着陸と高速での水平飛行が可能となる輸送機。現行の輸送ヘリ(CH46)に比べ、航続距離、搭載量が2倍以上向上するとされ、米軍の各地の基地で配備が進んでいる。オスプレイの元主任分析官、レックス・リボロ氏は米下院の公聴会などで「安全性に非常に深刻な欠陥がある。安全基準を満たしていない」と述べている。
※週刊ポスト2012年7月6日号