世界の株式市場には、素晴らしいポテンシャルを秘めた魅力的な銘柄が多数存在するが、そのなかでも注目したいのが、インドネシア株だ。海外投資のカリスマ、グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏が解説する。
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ここにきて中国の経済成長が鈍化するなか、代わって台頭しているのが東南アジア。なかでもインドネシア経済は活況に沸いている。
そもそもインドネシアは、鉄鉱石や原油などの天然資源が豊富なうえ、人口は米国に次ぐ世界第4位と豊富な労働力もあり、資源国としても「世界の工場」としても期待が高まっている。資源や食糧も自給できるため、新興国にありがちなインフレにもなりにくいことが大きな魅力といえる。
2004年の政権交代以来、政治基盤の安定が進み、格付けも投資適格級に引き上げられ、投資環境にも安心感が広がる。また、内需は1人当たりGDPが3000ドルを超えてから1万ドルに向かう過程で加速する傾向が強いが、インドネシアはようやく3000ドルを超えたところで、まさにこれから内需を中心に大きく伸びる可能性が高まっているのだ。
このようなインドネシアに日本から投資する手段としては、投資信託やETF(上場投資信託)が販売されており、経済全体の成長に沿った上昇が期待できるだろう。ただし、本気で資産10倍増を目指すのであれば、やはり個別銘柄に注目しておきたい。
実際、全世界の銘柄から成長性、収益性などで「株価10倍」を目指せる銘柄をスクリーニングした結果、インドネシアの銘柄はいくつも浮上している。
たとえば、携帯電話向けの通信設備を手がけるサラナ・メナラ(TOWR)や生産量が拡大している石炭会社のリソース・アラム・インドネシア(KKGI)、不動産ディベロッパーのアラム・ステラ・リアル(ASRI)、日立建機系列のヘキシンド・アディペルカ(HEXA)などは内需の成長に伴って大幅な株価上昇が望めるだろう。また、一風変わったところでは、国内最大にして唯一ともいえるパン製造企業のロティ(ROTI)が生産容量を急拡大させ、要注目だ。
現在、インドネシアの個別株は楽天証券やアイザワ証券などで取引できるようになっているが、取扱銘柄は限られている。残念ながら、ここに挙げた銘柄はほぼ売買できない(ASRIのみ楽天証券で取引可能)のが現状だが、楽天証券では銘柄の拡充を進めるほか、SBI証券でも4月下旬に取引を開始するなど、順次拡大される見通しである。
投資する機会が増えようとするなか、ぜひインドネシア株にも目を向けておきたいところだ。
※マネーポスト2012年夏号