週刊文春6月21日号が「小沢一郎 妻からの『離縁状』」というタイトルで和子夫人が後援会関係者に書いたとされる手紙を掲載するなど、民主党の小沢一郎元代表と和子夫人の離婚騒動がメディアを賑わせている。一体、小沢夫妻に何が起きているのか、本誌がレポートする。(文中敬称略)
ある後援会の関係者は、書かれた内容そのものより、和子の心がそこまで深刻な状態になってしまったのかと衝撃を受けた。また、達筆で知られた和子の直筆にしては、あまりに筆が乱れていること、さらに内容がこれまで小沢への攻撃材料にされた“疑惑”をなぞるように書かれていたことから、「何者かが捏造したものではないか」と疑う関係者も少なくなかった。
ただし、事実として明らかなのは、和子が小沢との離婚を決意し、慰謝料の協議を申し入れたことだ。その点で、手紙には重要な部分で真実が書かれている。
人物破壊を進める勢力にとっては百万の味方を得たようで、欣喜雀躍とする様子を隠そうともしない。
手紙が報じられる2週間ほど前、人物破壊の工作に深く関与してきた政界関係者が、「いよいよ小沢を潰す時がきた。息の根を止めるものすごい情報が近く報道される」と、一部政界関係者に触れ回っていたことを本誌は確認している。そして、報道の直後から、タイミングを計ったように文面のコピーがネットに流出した。政界でよく見る怪文書による「紙爆弾」の手法である。
手紙の内容にも、この紙爆弾の性格をうかがい知るヒントがある。なぜ、数年来、没交渉だった後援会に宛てられたのか。また、「慰謝料を取れば、それを岩手に寄付したい」と書かれたのか。
ある後援会関係者は、「これは小沢家の悲劇の始まりになるかもしれない」と苦痛の表情を見せた。
「書かれた内容は後援会の人間ならでたらめがほとんどだとわかるものだが、和子さんと、それを支える次男が小沢先生に反旗を翻している事実は変わらない。誰かにそそのかされて書いたものか、あるいは捏造されたものかにかかわらず、私たちが心配するのは、このアクションが後援会と地元に向けられた点だ。
家族の問題で小沢先生の政治生命に打撃を与えようという意図がはっきり出ている。それを望む人たちは、例えば次男や和子さん自身を小沢先生の対抗馬として擁立して泥沼の骨肉戦争をさせるなどして、小沢先生を決定的に痛めつけようとするかもしれない。
そうなっても、たぶん小沢先生は家族と争うことはしたがらないだろう。引退とはいわないかもしれないが、ある意味では検察の捏造した政治資金問題以上に苦しい問題になる」
その懸念が現実になるかはわからないが、離婚が事実である以上、そして政治資金問題がマスコミや権力者による捏造だったと判明した今、家族の問題が人物破壊の主要テーマになっていくことは間違いなさそうである。すでに、新聞、テレビニュース、ワイドショー、果ては国会での野党質問にまで「和子の手紙」は利用され尽くしている。
妻や息子から恨まれる小沢は、本人がいう通り不徳のそしりは免れないかもしれないが、その家族の問題さえ、執拗で容赦のない人物破壊の結果だったという面が否めないことは、まさに悲劇である。
※週刊ポスト2012年7月6日号