ライフ

みうらじゅん ハイテク火葬炉を「トリプル・ソフト」と称す

 みうらじゅん氏は、1958年京都生まれ。イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャン、ラジオDJなど幅広いジャンルで活躍。1997年「マイ ブーム」で流行語大賞受賞。仏教への造詣が深く、『見仏記』『マイ仏教』などの著書もある同氏が、最近見学を行なったという富士建設工業の“火葬炉”について解説する。

 * * *
 最新の火葬炉は、その大半が灯油かガスを燃料としているが、どちらも燃焼性能には違いがないという。現在、火葬炉には頭部から収められるのがふつうになっていて、バーナーは頭部に向かって燃焼を始めることになる。

 人間の体の中で頭部は比較的燃えやすい部位。これは老若男女共通で、逆に腹部は大腸や小腸があるので燃えにくいらしい。

 当たり前といえば当たり前だが、脂肪分の多い人は、燃えやすい。いったん、バーナーで点火されるや、後はバーナーの火が必要ないくらいに燃える場合もあるらしい。中には「異常燃焼」と表現されるほど、激しく燃える人もいるんだとか。

 人間て、年取ると太ってくる人いるじゃないですか? あれって死んでから燃えやすくなるように、自然の摂理で太ってくるのかもしれないなァ~。

 日本人は海外に比べて、遺骨をしっかり残してほしいという願望が強い。中でものどぼとけの骨をしっかり残してほしいという要望が強い。

 だが、高齢で長患いした女性などでは、骨がもろくなってしまっていたのか、遺骨がほとんど残らないケースもあるそうで、火葬場職員と遺族の間でトラブルに発展するケースもあると、葬儀社の人から聞いたことがある。

 そんな焼け方に個体差のあるご遺体を、できるかぎり同じような美しい遺骨へと火葬するには、火葬場職員の技術が必要だと昔はいわれていた。だがそれは、灼熱の火葬炉内を常に観察しながら行なう、非常に労力のいる仕事でもある。

 しかし、富士建設工業の火葬炉は、そんな労力をも半減させることに成功していた。

 温度、炉圧などを自動的に検知。光ファイバーで中央監視室へと情報を送り、コンピューターで火葬場全体の複数の火葬炉を一括制御するという、職員にも優しいハイテク火葬場を実現しているのである。

 キレイに焼き上げ遺骨に優しい。無煙無臭で周辺環境に優しい。そしてコンピューター制御で職員にも優しい。海外でも大人気の食パン『ヤマザキ・ダブルソフト』を超えた、トリプルソフト状態が、最新の火葬炉であったのだ!

※週刊ポスト2012年7月6日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン