みうらじゅん氏は、1958年京都生まれ。イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャン、ラジオDJなど幅広いジャンルで活躍。1997年「マイ ブーム」で流行語大賞受賞。仏教への造詣が深く、『見仏記』『マイ仏教』などの著書もある同氏が、最近見学を行なったという富士建設工業の“火葬炉”について解説する。
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最新の火葬炉は、その大半が灯油かガスを燃料としているが、どちらも燃焼性能には違いがないという。現在、火葬炉には頭部から収められるのがふつうになっていて、バーナーは頭部に向かって燃焼を始めることになる。
人間の体の中で頭部は比較的燃えやすい部位。これは老若男女共通で、逆に腹部は大腸や小腸があるので燃えにくいらしい。
当たり前といえば当たり前だが、脂肪分の多い人は、燃えやすい。いったん、バーナーで点火されるや、後はバーナーの火が必要ないくらいに燃える場合もあるらしい。中には「異常燃焼」と表現されるほど、激しく燃える人もいるんだとか。
人間て、年取ると太ってくる人いるじゃないですか? あれって死んでから燃えやすくなるように、自然の摂理で太ってくるのかもしれないなァ~。
日本人は海外に比べて、遺骨をしっかり残してほしいという願望が強い。中でものどぼとけの骨をしっかり残してほしいという要望が強い。
だが、高齢で長患いした女性などでは、骨がもろくなってしまっていたのか、遺骨がほとんど残らないケースもあるそうで、火葬場職員と遺族の間でトラブルに発展するケースもあると、葬儀社の人から聞いたことがある。
そんな焼け方に個体差のあるご遺体を、できるかぎり同じような美しい遺骨へと火葬するには、火葬場職員の技術が必要だと昔はいわれていた。だがそれは、灼熱の火葬炉内を常に観察しながら行なう、非常に労力のいる仕事でもある。
しかし、富士建設工業の火葬炉は、そんな労力をも半減させることに成功していた。
温度、炉圧などを自動的に検知。光ファイバーで中央監視室へと情報を送り、コンピューターで火葬場全体の複数の火葬炉を一括制御するという、職員にも優しいハイテク火葬場を実現しているのである。
キレイに焼き上げ遺骨に優しい。無煙無臭で周辺環境に優しい。そしてコンピューター制御で職員にも優しい。海外でも大人気の食パン『ヤマザキ・ダブルソフト』を超えた、トリプルソフト状態が、最新の火葬炉であったのだ!
※週刊ポスト2012年7月6日号