昨年10月の発売から約8か月、依然として携帯電話人気機種ランキングの上位に位置しているiPhone 4S。マーケティング会社イードの調査(2012年5月25日~29日 iPhone 4S購入者2000人対象)によると、iPhone 4S購入者の7割が「次もiPhoneを購入したい」と答えており、スマホにおける単独機種としての“iPhoneの強さ”が感じられる。
ソフトバンクモバイルとau、2つのキャリアで展開しているiPhone 4Sだが、イードの調査ではユーザー満足度に差が出始めている。「自身がauまたはソフトバンクモバイルのiPhone 4Sを選択していることに満足しているか」という質問に対して、昨年11月の調査で「はい」と答えたのは、auは53%、ソフトバンクモバイルは49%とほとんど差はなかった。しかし、今年5月に実施した調査では、auは61%、ソフトバンクモバイルは49%と、キャリアごとの満足度が12ポイント開く結果となった。
モバイル事情に詳しいケータイジャーナリストの石川温氏は、その土台ができたのは3月のOSアップデートと機能改善にあったと分析する。
「それまでauのiPhone 4Sはメールを15分に1回サーバに読みに行っていましたが、iOS 5.1のアップデートにはじまる機能改善で、リアルタイムに受信するようになりました。また留守電のメッセージを画面上で簡単に管理できる『ビジュアルボイスメール』も使えるようになり、auもソフトバンクモバイルも機能はほぼ同じになったといえます」
またイードの調査結果でキャリアごとの特徴が出ているのは、「通信品質」と「料金」。auのユーザーは「通信エリアの広さ」(62%)、「インターネットのつながりやすさ」(56%)、「インターネットの速さ」(47%)で満足度が高く、ソフトバンクモバイルのユーザーでは「Wi-Fiサービスの対応」(46%)、「端末の安さ」(42%)、「月々の料金の安さ」(36%)で満足度が高かった。
表面的にみると、auは通信環境を中心にした品質面が、ソフトバンクモバイルは料金面が、それぞれの強みという印象だが、その判断は早計だと石川氏はいう。
「ホワイトプラン一本押しのソフトバンクモバイルに対して、auは料金コースが豊富。ホワイトプランのパケット料金は安いのですが、通話料は別。一方で、auはパケット定額が設けられているのに加えて、自分の通話の利用状況に合せてコースを選択できる余地があるのです。
また自宅でケーブルテレビやKDDIのインターネットを利用している場合、『auスマートバリュー』で料金が割引になり、通信費全体を下げることもできます」
ソフトバンクモバイルもauも、おトクなプランとしてパケットの定額制プランが設けられている。auの場合、単純な比較ではソフトバンクモバイルより1000円ほど高いものの、「auスマートバリュー」などプラン選択の工夫でトータルの料金を抑えられるため、一律に料金を比較することが難しい側面もある。家族構成や使い方など、適用可能なプランも異なるので、自分に合った料金プランを選ぶことがポイントになるだろう。
「ソフトバンクモバイルでは純増数がトップで、auはモバイルナンバーポータビリティーを利用した他社からの乗り換えがトップです。Android機種もシェアを拡大しつつありますが、やはりiPhoneを持っているキャリアは強いですね」(石川氏)