歴史好きが高じ「銅像のある風景」をテーマに20年撮影を続けてきた写真家の金子治夫氏(71)。50代で撮影を始め、これまでに訪ねたのは46都道府県。残すは沖縄県のみだという。
「戦前に数千点あった銅像も、戦中の供出や戦後の統制で撤去されて、現存するのはわずか60点といわれています。それでも、愛知県清須市にある織田信長の像は戦前のものですが、鎧の文様まで精緻に表現されていて驚きます」(金子氏)
ここで紹介する写真は、長野県長野市八幡原史跡公園に1969年設置に設置された武田信玄と上杉謙信の銅像だ。
戦国時代の武将、武田信玄(甲斐)と上杉謙信(越後)。信濃の支配を巡り「川中島の戦い(1553~64年)」にて5度も激しく戦うが、勝敗はつかず。後に信玄は上洛を志して徳川家康・織田信長連合軍を三方原で破るも、病死。信玄の没後、謙信は越中・能登・加賀へ進出。“越後の雄”となるが、病に倒れる。
こうした歴史の教科書で学んだ偉人の顔を眺めながら偉業を感じ取るのも趣深い。
【プロフィール】
金子治夫(かねこ・はるお):1941年富山県生まれ。1959年に富山県立高岡工芸高校図案絵画科を卒業。1975年にコマーシャルカメラマンとして大阪市内に写真スタジオを開業、現在に至る。今年4月に写真236点を掲載した『日本の銅像』(淡交社)を刊行。7月11日~16日まで高岡市美術館ギャラリー地階にて「日本の銅像出版記念写真展」を開催。
撮影■金子治夫
※週刊ポスト2012年7月6日号