2014年から消費税が8%に、2015年から10%になる見込みだが、段階的に上げる理由はどこにあるのか。財政に詳しい慶應義塾大学の土居丈朗教授はいう。
「いきなり5%も税率が上がると、家計は大変苦しくなり、買い控えが起こって景気が急激に悪化してしまいます。逆に、8%になった1年後に10%になると決まっていれば、極端な駆け込み需要や増税後の買い控えが減ります。家計や景気に配慮し滑らかに10%に移行するのが国のねらいです」(土居教授)
今回の消費税増税は高齢者にかかる社会保障費を賄うことが目的となっているが、日本の高齢化は2025年まで進行し、その後は横ばいになるといわれている。つまり、2025年までは、社会保障費も伸び続けることになる。これでは税率10%ではとても足りないという声も多い。
「2020年以降は団塊の世代(1947~1951年生まれの人)が軒並み70才以上になる。内閣府の試算では、社会保障費を全額消費税で賄う場合、2025年には消費税17%が必要といわれています」(土居教授)
なかなか厳しい現実が待っているが、消費税増税法案には「消費税増税を実際に判断するのはその時の政権」とある。2~3年後に増税を撤回することはあるのだろうか。経済評論家の森永卓郎氏が語る。
「増税の実施前、遅くても2013年夏には衆院選が行われます。ここで反増税を掲げる政党が勝って政権を取れば、増税がストップされる可能性があります」(森永さん)
※女性セブン2012年7月12日号