中国の最高指導者が胡錦濤・国家主席から習近平・国家副主席に交替することはすでに既定路線だ。だがその裏では両氏とそのグループの間で、人事をめぐる駆け引きが激しさを増している。チャイナ・ウォッチャーのウィリー・ラム氏が解説する。
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胡主席は習副主席の次の候補もすでに決めている。それは胡春華(フーチュンフア)・内モンゴル自治区党委書記で、秋の共産党大会で党政治局常務委入りを狙っている。胡春華氏も胡氏と同じく中国共産主義青年団(共青団)のトップを務めたほか、チベット自治区で20年以上勤務し、胡主席が同自治区トップ時代、胡春華氏は胡主席を陰に陽に支えたという密接な関係である。
「胡主席は党大会では胡春華氏を常務委入りさせ、さらに北京市トップの党委書記に昇格させるとの人事案を温めている」と北京の共産党関係筋は明かす。
さらに、胡主席は同じく共青団トップを務めた陸昊(リュウハオ)・北京市副市長を政治局入りさせ、2017年の第19回党大会では李克強(リークーチアン)、胡春華、周強(チョウチアン)、さらに陸昊という歴代の共青団第一書記経験者4人を党政治局常務委入りさせて、「“胡錦濤院政”を完成させるというシナリオを描いている」と同筋は指摘する。
胡主席は2002年秋に党総書記に選出され、翌年春の全人代では国家主席として最高指導者の座に就いたが、江沢民氏は軍事委主席を手放さず、政治局常務委では腹心の上海閥最高幹部を擁して“院政”を敷いた。権力を手にした者は終生、権力の座にしがみつきたがる。これは胡主席も変わらなかったようで、歴史は繰り返されようとしている。
●翻訳・構成/相馬勝
※SAPIO2012年7月18日号