最近、映画やドラマで注目を集める公安警察。いまだ秘密のベールに包まれているその実態はどうなっているのか。
「公安」と呼ばれる組織は、大きく分けて3つある。
まず、「警察庁警備局」。そして、「警視庁公安部」を筆頭とする、全国都道府県警察の公安警察。もう1つは、法務省に属する「公安調査庁(公調)」である。
警察庁警備局には、公安課、外事情報部などがあり、これらが全国の公安警察、外事警察を束ねている。そして、警視庁を始めとする各都道府県の警察本部には、それぞれ公安・外事を担当する部署がある。
中でも、「公安部」という独立した専門組織を持つのは警視庁だけである。指示命令をする立場の警察庁警備局には実働部隊はいないことからも、警視庁公安部は“公安の中の公安”という位置づけだ。
警視庁公安部の実態については非公表となっており、警察外部はおろか、同じ警察官でありながら、他部署にいてはその詳細が知れないほど、秘密主義が貫かれている。『公安は誰をマークしているか』(新潮新書)の著書がある産経新聞大阪社会部次長の大島真生氏によると、その陣容は警視庁だけで推定1100人前後、各警察署の担当係を含めると総勢2千数百人規模に上るという。
警視庁公安部が監視・取り締まりの対象とする範囲は、大きく“国内の組織”と、“海外のスパイ”に分かれる。前者の担当部署が「公安総務課」と「公安1~3課」で、後者の担当部署が「外事1~3課」である。
※SAPIO2012年7月18日号