ビートたけし、櫻井よしこ、森永卓郎、勝谷誠彦、吉田豪、山田美保子といった、各分野の論客が毎週書き下ろしのオピニオンを発信する『メルマガNEWSポストセブン』。6月29日配信の21号では、経済アナリストの森永卓郎氏が登場し、消費税増税関連法案が衆院で可決したことを受け、今後、国民にどれだけの負担増があるのかを分析した。
消費税が10%になる2015年10月までに、どれだけの負担増が家計に降りかかってくるのか、中学生までの子供が2人いる、年収500万円の専業主婦世帯をモデルに試算する。
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まず、今年6月に0歳から15歳までの年少扶養控除が廃止されたことによって、住民税が増税になった。もともと今年から子ども手当が満額の月額2万6000円支給される予定になっていたので、「控除から手当へ」という民主党の子育て政策に基づいて、控除の廃止が計画されていたのだ。その後、子ども手当は自民党の反対などで廃止されてしまったが、年少扶養控除の廃止という増税だけは生き残ったのだ。住民税の年少扶養控除は1人33万円だから、子ども2人の世帯では控除額が66万円減少する。住民税の税率は10%だから、これだけで年間6万6000円の増税、負担増となる。
次に来るのが厚生年金の保険料の引き上げだ。厚生年金保険料は、2017年9月まで毎年0.354%ずつ引き上げられることになっている。このうち半分が企業負担、半分が勤労者負担だ。消費税率が10%になる2015年10月までに、今年も含めて3回引き上げられるから、家計にとっては、年間2万6550円の負担増となる。
次に、復興増税だ。東日本大震災の復興財源を確保するため、2013年1月から所得税の税額に一律2.1%の税額が上乗せされるほか、住民税にも一律1000円が上乗せされる。この復興増税に伴うモデル世帯の負担増は年間1916円だ。
そして本命の消費税だ。「家計調査」によると、年収500万円の世帯は、勤め先からの収入の57%を消費に振り向けている。このため、消費税率が5%上がると、税負担が14万4000円増えることになる。
ここまでの負担増の合計は、23万8466円だ。これだけ大きな負担増が、たった3年間で家計に降りかかってくるのだ。いきなり24万円も手取りを減らされたら。たまったものではないのは明らかだろう。
※メルマガNEWSポストセブン21号